【特集 特別座談会】「SDGsから未来の海を考える」後編2/2

この情報は、北海道漁業協同組合連合会(JF北海道ぎょれん)からの提供です。

前後編を、それぞれ2回にわたって公開します。
以下、後編2/2回目をお届けします。

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<出席者>
さかなクン / JF全漁連 魚食普及推進委員
渋澤温之氏(以下、渋澤専務) / パルシステム生活協同組合連合会 代表理事専務 
三浦秀樹氏(以下、三浦常務) / 全国漁業協同組合連合会 常務理事 
安田昌樹氏(以下、安田専務) / 北海道漁業協同組合連合会 代表理事専務(進行)

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▶【特集 特別座談会】~前編1/2~
https://sakanadia.jp/torikumi/hokkaido_zadankai22_01/
▶【特集 特別座談会】~前編2/2~
https://sakanadia.jp/torikumi/hokkaido_zadankai22_02/
▶【特集 特別座談会】~後編1/2~
https://sakanadia.jp/torikumi/hokkaido_zadankai22_03/

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-安田専務 
次はパルシステムさん、今度は消費者という立場からSDGsの12番目「つくる責任、つかう責任」というのがありますけれども、これとどのように関わっているのか、あるいはどのような立ち位置に居るのかも含めてお話いただければと思います。

-渋澤専務 
私たちは生活協同組合という組織ですので、17ある開発目標の一つだけ捉えて行動するというよりは、全体が繋がりながら、最終的にどこに重きを置いているのか。そういう問題意識で取り組んできたと思っています。

特に先ほどから言ってる通り、水産物で考えれば「つくる責任、つかう責任」に加え、「食べる責任」という立場が非常に大きいかと。何回も言いますが、やはり魚食文化というのが非常に重要だろうと考えています。そして、このことが先ほどから安田専務が仰られている浜のコミュニティに繋がるのだろうと思っています。

パルシステムの渋澤温之専務

それとこれは農産物ですけれども、花見糖というお砂糖の話です。花見糖は、鹿児島県の沖永良部島(おきのえらぶじま)など3つの島のサトウキビを原料にそこでほぼ捨てるところ無く、端材も全部燃料に変えて作り、最終的には宮崎の方に運んで精製されて出荷するのですが、沖永良部島の方にとってみると間違いなく生業なのです。ですので「つかう責任、つくる責任」という立場で考えれば、私どもはこうした生業も考える必要があって、逆に言うと私たちがその販売を途絶えさせてしまったら、この方たちは生きていけなくなるのだと、そのくらいの責任があると思っています。

具体的には書いていませんが、SDGsが言っている持続可能な問題意識、誰一人取り残さないということはこういうことなのではないか、生業を作るために何がどう動く、というこの関係性も非常に大事だと思っております。

-安田専務 
渋澤専務、ありがとうございました。最後に皆さんがこれからの漁業に必要だと思うこと、あるいは未来の漁業に期待することなどご意見あれば、伺いたいと思います。さかなクンどうでしょうか。

-さかなクン 
はい、日本の各地に様々な漁法があり、地曳網漁業や定置網漁業など一般の方も体験させていただける機会もありますが、親子やお魚に興味のある方はもちろん、初めてお魚を見たり、漁業を体験されたりした方も「こうやって獲っているんだ」「すごいなー」「獲れたてのお魚はきれいだね」とお目目をキラキラさせるんですね。その皆さまの感動されることに漁師さんもとても喜ばれます。まさに「生産者」と「消費者」の繋がりです。

漁師さんも自分たちの獲っているお魚を多くの皆さまが喜ばれることが、最高に嬉しいことだと思います。だからもっともっと漁業について知る機会が増えると嬉しいです。体験漁業が難しいときは、お魚売り場で直接お魚を見てみるのがいいですね。

さかなクン

広く皆さまにお魚の関心を持っていただくためにNHK「ギョギョッとサカナ★スター」をはじめ、メディアでお魚や漁業についてお伝えしています。多くの皆さまのお魚や漁業を見たい・知りたいという知的好奇心に繋がれば、日本の漁業がさらに明るくなると思います。

-安田専務 
同じく渋澤専務と三浦常務も何かあればお願いします。

-渋澤専務 
今さかなクンが仰られたこと、本当に大事な視点だなと思います。私たちの組合員のご意見を聞くと、以前はそんなになかったのですが最近は「魚は生臭い」という声が結構増えてきましたね。私どもは流通の過程上、だいたいは冷凍の物を届けているのですが、それでもやはり生臭いという意見がありまして、マグロなんかはよく声としていただいています。

それと今多いのが、骨なんです。そもそも魚を食べて骨が無いというのは個人的にはどうかと思うのですが、結構ベトナムだったり、海外に持って行って骨取り加工を行っていますよね。

こうした食べてもらうための努力と新鮮な状態で届けたいという努力、長く続けていくためにこの矛盾を抱えながら、どう接点をしっかり作っていくのか。そのためにも実態をしっかりと知らないとならないと思いますし、そしてその実態を知らせていかなければならないと思います。

―三浦常務 
魚の生臭さというのは鮮度に起因してしまいますので、血抜き等の前処理をしっかりすればするほど、生臭くは無くなる。しかしながら、これに反して骨を取るなどの加工度を上げて手を加えれば加えるほど鮮度が低下して矛盾に繋がります。どう斥候を取っていくかが重要です。

私の方からは青年漁業者を中心にこれからの海洋環境の変化に対する勉強会を開いた際の話を紹介させていただきます。

その勉強会ではワシントン大学の太田義孝教授とWEBでお話したとき、「産業革命以降、累積した気候変動の影響というものは、確実に海の持続性を落としている。それは紛れもない事実であり、そうした視点から見ると、より良い未来というのはそれほど期待できないかもしれない」と言っていました。しかしながら、「アメリカでは資源管理や環境対策にしっかり取り組んでいると言いながらも漁業者がこのような勉強会に参加し、議論することなどまずあり得ない」とも言っていました。

JF全漁連の三浦秀樹常務

日本では漁業者が環境変化に対して自ら学ぶために勉強会を開催している。つまりは漁業者が研究者や行政と同じテーブルに立とうとしている、これはすごい重要なことだと思っています。

中核的な漁業者が今後もこの海洋環境の激変を乗り越えるために、さかなクンの発信力ですとか、パルシステムさんの販売力とか、そして安田専務の脅しですかね(笑)、みんなが連携することで、漁師がしっかりと生活が出来て飯が食べられる、子どもたちに「おいしい」と言って魚を食べてもらえる、そういった未来に向けてこれからも取り組んでいきたいと思います。

―安田専務 
時間も迫ってきましたので最後に私の方から。いつも思っているのですが、漁業というのは自然と対峙する、どちらかという厳しい職業というイメージがあると思います。ですが反面、大変クリエイティブな職業だとも思っています。今後の漁業のためには資源対策、それと後継者対策、これが不可欠だと考えていますが、私自身もそうですし、さかなクンもそうですが、今日お集りの皆さんで漁業の素晴らしさをより広く発信していただければと思っております。

今、色々な事業や経済を継続する上でSDGsや環境対策は避けて通れない状況ですし、環境対策を推進するためには海を切り離すことはできないと思います。我々は今、「海の未来は人の未来」というメッセージを発信していますが、逆に言うと、「人の未来は海の未来」とも言えます。

私は水産業の持つ可能性は無限大だと思っていますが、これを生かすのも殺すのも我々次第というところもあろうかと思います。そして今後は様々な業界との連携がより加速度的に深まっていくのだろうと感じています。流通はもちろん、通販、加工、教育、あるいは環境、医学、製薬。こういった色々な業界との連携を通じて、より一層、海には多くの可能性を秘めているということを発信して行きたいと考えていますし、ぜひさかなクンにも今後ともご協力をお願いします。ということで今日の座談会を締めさせていただきたいと思います。

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