「海業」セミナーをJFグループ向けにオンライン開催

JF全漁連は1月16日、「JFグループ海業セミナー」をオンライン開催しました。

冒頭、オンラインの参加者に挨拶する中平和典JF全漁連専務

「海業」とは、海や漁村の地域資源の価値や魅力を活用する事業。未利用の漁港施設を利用した水産物の販売・提供や漁業体験などの海にまつわる事業を通じ、漁村の活性化を目指すものです。

今回のセミナーでは、「海業」に関心のある全国のJF、JF漁連などを対象に、「海業」を推進するにあたって取り組みの参考になるテーマについて、学術研究者・専門家が講演しました。

「海業」に取り組む上で重要なポイントについて学術研究者と専門家が講演

はじめに、大分大学経済学部地域システム学科の亀岡鉱平准教授が「漁協(JF)における事業多角化の意義と課題」をテーマに講演しました。

人口減少と少子高齢化による地方の活力低下が懸念される中、地方創生などの観点からも漁業振興による地域の活性化が重要となっており、浜ごとの特性を活かして漁業所得の向上を目指す「浜の活力再生プラン(浜プラン)」の策定・実行が2014年度から国により推進されてきました。

亀岡准教授は「2024年度から始まる第3期浜プランでは、『海業』が大きなキーワードとなる」と指摘した上で、JFの役割について、「単に漁業生産や組合員向けにとどまらず、広く地域振興全体に関わる、より公益的な領域へと一層拡大していく」と言及しました。
さらに、JFが事業多角化に向けて注目すべき産業として「異業種連携や事業多角化といったこれまでの浜プランの歩みに非常に適合している観光業」を挙げ、JF明石浦、JF糸島、JF太地町、JF田尻の事例を紹介しました。

大分大学経済学部地域システム学科の亀岡鉱平准教授

続いて、株式会社アール・ピー・アイの大島肇社長が「漁業や漁協経営の改善に向けた海業の展開を考える」と題した講演を行いました。

海業の概要や漁業・漁村の取り巻く環境を紹介した上で、大島さんは海業について「漁業や漁村生活の特性を念頭に、浜の実態に合わせた多様な姿を目指すべき。異業種連携も検討してほしい」と説明しました。
また、無理をしない海業への向かい方としては「漁村の資源を有効に活用し、リスク分担を適切に行い、漁業や漁協経営に資する体制をつくることが重要」との考えを示しました。

株式会社アール・ピー・アイの大島肇社長

最後に、JF全漁連信用・組織指導部から海業に取り組むJFが活用可能な補助事業である「令和6年度経営基盤強化支援事業」の概要について説明がありました。

JF全漁連では、今後も引き続き、浜プランにおける漁業所得向上の取り組みに加えて、本セミナーのほか、昨年度から実施している全国の海業事例の類型化や、JFにおける海業事例の調査レポートの作成、異業種連携のノウハウや企業とのリレーションを活用したマッチング支援などを通じて、「海業」による漁村地域活性化の取り組みについても支援してまいります。

  • JF全漁連編集部

    漁師の団体JF(漁業協同組合)の全国組織として、日本各地のかっこいい漁師、漁村で働く人々、美味しいお魚を皆様にご紹介します。 地域産業としての成功事例や、地域リーダーの言葉から、ビジネスにも役立つ話題も提供します。 SakanadiaFacebook

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