2024年度浜の活力再生プラン全国推進会議を開催

JF全漁連と水産庁は3月11日、「2024年度浜の活力再生プラン全国推進会議」をオンライン併用で開催しました。

あいさつする三浦秀樹JF全漁連常務

本会議は、全国の地域水産業再生委員会が取り組む「浜の活力再生プラン」(浜プラン)の優良な取り組み事例の共有を通じ、漁業者の所得向上に向けた取り組みの一層の充実を図ることを目的に開催されています。2019年度以降コロナ禍により開催を見送っていましたが、昨今の社会情勢を踏まえ、6年振りに再開しました。

あいさつする櫻井政和水産庁防災漁村課長

今回の会議では、水産庁・JF全漁連からの基調報告のほか、「2024年度浜の活力再生プラン優良事例表彰」に選ばれた地区の中から、農林水産大臣賞を受賞した高浜地区地域水産業再生委員会、水産庁長官賞を受賞した宍道湖流域水産業再生委員会と大阪市地区地域水産業再生委員会がそれぞれ事例報告を行いました。

農林水産大臣賞と水産庁長官賞の受賞者が事例報告

1つ目の事例報告は、農林水産大臣賞を受賞した高浜地区地域水産業再生委員会(福井県)による「まちづくりと漁港の有効活用〝海の6次産業化″」をテーマにした取り組みです。中村広花高浜町主事が6次産業施設整備に関する経緯や、高浜地区で進める海の6次産業化の体制構築に関する取り組みについて説明しました。
高浜地区では、元々加工場を漁業者が自営で運営し、地元客向けに販売をしていましたが、魚価の低迷や後継者不足、加工事業の収益減少や魚離れといったさまざまな課題に直面したことを受け、町を中心に施設や体制整備を行いました。
漁業者は漁獲した水産物の鮮度維持や品質管理に努め、加工業者は民間企業を誘致。漁業者が漁獲した水産物を買い取って、食べやすい商品の開発を行い、6次産業化施設で直売するなど役割を明確化したことで、海の6次産業化事業の見える化を実現しました。
これらの取り組みの結果、町が整備してきた6次産業施設は、漁港を中心とした地域の発信を行う観光産業や、農業・商工業など異業種が交わり連携して地域の賑わいを創出する場として発展しました。

中村高浜町主事

2つ目の事例報告は、水産庁長官賞を受賞した宍道湖流域水産業再生委員会(島根県)による「宍道湖産シジミの資源回復と単価向上」をテーマにした取り組みです。桑原正樹宍道湖漁業協同組合参事がシジミの資源回復対策と単価を向上させるためのさまざまな取り組みについて紹介しました。
宍道湖流域地区では、湖底の貧酸素化や低塩分などによるシジミ資源の減少が近年問題になっていることから、資源量の状況に応じて、昔ながらの「ジョレン」の目合を変更した乱獲防止や、漁獲量・操業時間などの厳格な規制のほか、漁場保全に着手。漁獲量、漁獲金額ともに増加させることができました。
もう一つの課題であった全国的なシジミ需要の低下による単価低迷については、対策として、選別の徹底による規格統一や斃死貝の混入防止、貝にやさしい漁獲方法の開発などによる品質向上に取り組むとともに、ホームページや交流サイト(SNS)をはじめとした情報発信、直売所の運営やオンラインショップの開設などによる販路拡大に努めた結果、販売金額の増加に繋がりました。

桑原宍道湖漁協参事

最後の事例報告では、水産庁長官賞を受賞した大阪市地区地域水産業再生委員会(大阪府)の畑中啓吾JF大阪市次長が淀川河口域の生産性向上の取り組みと大阪湾・淀川産魚介類の6次産業化および販路拡大の取り組みを紹介しました。
大阪市地区地域水産業再生委員会では、淀川の魚介類減少を機に、淀川河口域の生産性を向上させるため、「淀川河口域を考える会」を開催。干潟の重要性について、漁業者や行政、河川工事事業者間で議論を進めるとともに、河川管理者や河川工事業者に働きかけることで干潟の造成や水路掘削を実施しました。その結果、淀川河口域のシジミの個体数・重量の向上が見られました。
また、大阪湾産や淀川産魚介類を用いた6次産業化商品の開発にも着手。イベントや商談会への出店などを通じて、認知度向上やイメージアップを図ることができ、販路拡大を実現しました。

畑中JF大阪市次長
  • JF全漁連編集部

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