【特集3.11から10年】(まとめ)自然災害と漁業の持続性―今伝えるべき漁村のちから

恵みをもたらすはずの海は、ときに私たちに猛威を振るう。
10年前、その現実を突きつけられた私たちは、その後も自然の怖さを目の当たりにしています。
3.11以降も、地震、爆弾低気圧や豪雨、台風など自然災害はなりわいに容赦なく襲い掛かってきました。

日ごろの備えや漁村が持つ性質などを生かし、有事に柔軟に対応してきた漁業・漁村ですが、昨今の頻発する自然災害への対応には、さらにその強みを発揮していかなければなりません。

【特集3.11から10年】では、そんな漁村のもつ“ちから”を再確認し、今後の漁村の防災に役立つ情報を伝えるとともに、専門家・防災実践者のメッセージから教訓を考えます。

あのとき漁師はどうしたのか。これから漁村はどうすればよいのか。振り返り、そして未来を考える機会にしたいと思います。

事前復興計画という考え方

職住一体の「まちづくり」(前編)—事前復興計画という考え方—

職住一体の「まちづくり」(後編)—九鬼漁村の事前復興まちづくり—

著者:大阪大学大学院 下田元毅助教

あの日をきっかけに、生活や仕事が大きく変化した漁村。”なりわい”や習慣を新たなまちづくりにどうつなげていくか、試行錯誤が繰り返されています。震災で失われた漁村の風景は今どのように再構築されているのでしょうか。

いつ来るかわからない自然災害に対して、地域の持続性を考えて事前に地域分析・行動計画を立てることを「事前復興計画」と言います。漁村に入り込み、「事前復興計画」を研究・実践する大阪大学大学院下田元毅助教のコラムです。

「伝える」プロが考える教訓

河北新報の10年—教訓の共有・記憶の伝承—

著者:河北新報社 鈴木淳さん

伝えることの難しさと底力を知り尽くした東北の新聞社が、震災以降はじめた「備え、避難、情報」の大切さを確認する防災巡回ワークショップ。その開催回数は100回以上を数え、全国にも波及しています。

10年前、漁村では津波の被害で多くの犠牲がありました。
後世に、未来の漁村に伝えなければならないことは何だろうか。小さな気づきとその共有が、命を守る備えにつながるかもしれません。

あのとき・あれから漁師はどうした?3つの漁村の事例

故郷を離れて暮らさなければならなくった福島の漁師たちは、今、何をしていると思いますか?
震災前から築いてきた若手漁師のコミュニティが、震災から10年たった今もしっかり機能し、故郷の産業をリードしています。
「何かあると自然と集まる」関係が、災害時・復興過程においても大切なんだと気づかせてくれる、JF相馬双葉請戸地区青壮年部。
新規就業の受け皿にもなり、変化した生活に合わせた海の使い方、仕事の仕方を模索しています。

 

「仲間がいたから立ち上がれた」――災害時に力を発揮したJF女性部の活動(岩手県・JF釜石東部女性部)
著者:大浦佳代さん

10年前の被災地では、イベント等での調理などの経験がある漁協女性部が、避難所の炊出しで活躍した事例がたくさんありました。
JF釜石東部女性部は震災前から行っていた「食」の活動を生かし、災害時に地域の人々の生活を守りました。復興過程でも加工品の開発などで地域産業を支えています。
有事に限らず変化が多い今の時代、多方面と連携し、しなかやかに活動する漁協女性部の動きは参考になるのではないでしょうか。

 

漁師中心のボランティア組織が人命を救う―海難事故における漁協と漁師が果たす役割―(徳島県・JF椿泊)

西日本にも目を向け、漁村の災害対策を考えます。
全国の臨海道府県には漁師が構成員となる地方水難救済所が1,300ヶ所以上あります。海で培った技術や知恵を使って、有事の際に海保などと連携して救助活動をします。
まだ記憶に新しい「平成26年8月豪雨」の際に、多くの命を救った徳島県JF椿泊(阿波救難所椿泊支所)の漁師たち。
海の怖さを知っている漁師たちの的確な判断と志こそ、今伝えたい漁村のちからです。

 

▶2019年度の【特集3.11】はこちら

  • JF全漁連編集部

    漁師の団体JF(漁業協同組合)の全国組織として、日本各地のかっこいい漁師、漁村で働く人々、美味しいお魚を皆様にご紹介します。 地域産業としての成功事例や、地域リーダーの言葉から、ビジネスにも役立つ話題も提供します。 SakanadiaFacebook

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