JFレポート 経営の未来考えてますか?「事業承継」を学ぶ漁師―漁業経営をサポートするJFグループの取り組み 2021.3.31 JF全漁連編集部 印刷する 海に出て道具を駆使し魚を獲る・育てる漁師は、一見“職人”のような印象を受けますが、「経営者」でもあります。自分たちが獲った・育てた魚を出荷し、その代金で船や施設などを整えて、事業を維持・展開させています。従業員を雇っている漁師もいます。 そんな漁師にとって、大切なのが「事業承継」です。漁業を一代で築き上げるのは大変なことですが、経営と技術、思いを引き継ぐ後継者もさらに大変。 漁師たちはこの難しいターニングポイントをどのように乗り越えようとしているのでしょうか。 「事業承継」ってなに? そもそも「事業承継」とは、文字どおり経営者が事業を誰かに引き継ぐこと。漁業の場合は、息子や娘に引き継ぐことが多いようです。そのため相続と混同されることがあるそうですが、事業承継はただ財産などを受け取る相続とは違い、受け継いだあとに自ら価値をつけていかなければなりません。 会社の価値を受け継いだ後継者は、それを基盤に新しい価値を生み出すことでその後継者ならではの新たな事業基盤を築くことができます。 漁業の事業承継では、漁業・養殖の技術や生産物に込められた思いも同時に引き継がれます。後継者になった人は、生産技術を身に着けると同時に経営者としての資質も磨いていかなければなりません。ほんとうに大変なことですよね。 経営者である漁師たちからは、「事業承継の仕方がわからない」「子供が事業を引き継がない」「見通しがたてにくい」など、悩みの声があるそうです。 香川県で事業承継セミナー開催令和2年度 第2回かがわ漁業後継者対策研修会のようす(主催:香川県信用漁業協同組合連合会(JF香川信漁連)・香川県水産振興協会、共催:香川県庁・農林中央金庫)そのような悩みを解決したいと動き出したのが、香川県の漁師たち。 経営者と後継者を対象に、事業承継とは何か、それぞれ何を心掛けたらよいのかなどを学ぶためのセミナーを開催しました。講師は、「株式会社後継者の学校」代表取締役の大川原基剛さん。JFグループの金融機関であるJF香川信漁連・農林中央金庫のサポートで派遣された事業承継のエキスパートです。 事業承継に関する意識調査によると、経営者が事業承継で最も苦労した(している)ことは、「後継者育成」だそうです。また、後継者自身も実際に何をしたらよいかわからないという声が多いようです。 講師の大川原さんは、事業承継の失敗例を挙げながら、経営者・後継者がそれぞれやるべきことを具体的にアドバイスしたうえで、「経営者は、事業承継を計画的に実行し、価値を未来に継承してほしい。後継者は、価値を受け継ぎ未来に繋げるために、自らが主役となってほしい」と呼びかけました。 セミナーに参加したJF引田の服部秀俊さんは、「自分は突然親の事業を引き継ぐことになり、本当に苦労した。その経験があるから息子を連れてこのセミナーに参加した」と言います。 さらに、セミナーに参加して事業承継に向けて経営者がやるべき取り組みを知った服部さんは、「経営者として、自社の価値だけでなく養殖業の意義についても見つめなおしたい」と話します。 経営者と後継者の両者がお互いの状況を把握し、やるべきことを確認することが事業承継の第一歩になるのかもしれません。 漁業経営をサポートするJFグループの取り組み「全国漁業者経営相談センター」ホームページ https://www.jfmbk.org/support/soudan/keieisoudan/JF全漁連と農林中央金庫はこのほど、漁業者の経営サポートに関する業務の拠点として「全国漁業者経営相談センター」をたち上げました。 今回ご紹介したような事業承継セミナーなどの専門講師派遣のほか、漁師のニーズの掘り起こしやビジネスマッチングの支援も行っています。 また、JFグループの職員と企業やコンサルタントが情報交換する定期会議も開催し、より多くの情報が漁師に届くような取り組みも行っています。 「漁業経営に専門的なアドバイスが欲しい」「新たな事業を始めたい」、そんなことを考えている漁師さん、お近くの漁協や漁連・信漁連に相談してみてはいかがでしょうか。 JF全漁連漁協(JF)中国・四国JF全漁連編集部漁師の団体JF(漁業協同組合)の全国組織として、日本各地のかっこいい漁師、漁村で働く人々、美味しいお魚を皆様にご紹介します。 地域産業としての成功事例や、地域リーダーの言葉から、ビジネスにも役立つ話題も提供します。 SakanadiaFacebookこのライターの記事をもっと読む
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