【全国漁青連】若手漁師が水産庁長官とオンラインで意見交換

若手漁師らが現地からオンラインで参加

JF全国漁青連は6月25日、水産庁長官とオンライン意見交換会を実施しました。参加したのは、中村清作さん(全国漁青連会長・滋賀県JF海津所属)、川畑友和さん(同副会長・鹿児島県JF山川町所属)、平子正彦さん(同理事・岩手県JF宮古所属)、野口和宏さん(同理事・富山県JF新湊所属)、袈裟丸彰蔵さん(同理事・佐賀県JF佐賀玄海串浦支所所属)の5人。現役で漁業・養殖業を行う30~40代の漁師たちです。
今回の意見交換会は、水産政策改革について若手漁業者の意見を聞きたいとの水産庁の要望で実施。現役漁師の5人は、操業の合間を縫ってそれぞれの地元からオンラインで参加しました。

※全国漁青連…若手漁業者で結成する漁業協同組合青年部からなる全国団体。

意見交換会スタート!

意見交換会の冒頭、水産庁山口英彰長官(2021年6月25日現在)があいさつ。昨年12月に施行された改正漁業法をはじめとする水産政策の改革について、これまで350回を超える説明会を行ってきたことを報告し、「直接若手漁師とお話をしたいと思っていた。今回は、水産庁の若手職員から提案があり実現した。ざっくばらんに話をしたい」と述べました。

これに対し、全国漁青連会長の中村さんは、貴重な機会が設けられたことに感謝を述べ、「これまでも水産庁や全漁連の説明を浜に持ち帰り、仲間に伝えてきた。改革の柱である水産資源の持続的利用は若手からベテランまで共通の思い。一方で“待ちの漁業”である沿岸漁業にとって一律のTAC管理が基本となることには不安もある。今回は思うところを話したい」と、意見交換に向けた意気込みを語りました。

若手漁師たちの声

意見交換では、参加した若手漁業者らから率直な疑問や意見が出されました。
岩手県でホタテ・ホヤ養殖を行う平子さんは、漁業法の改正による漁業権免許のルールの変更が不安だったといいます。「空いた漁場(養殖場)は、頑張っている若手漁師たちが分け合って使えるようにしたい」と話します。
「他の業種から漁業に参入してくる企業もあるが、今頑張って漁業をやっている私たち若手漁師が追い出されるようなことがないようにしてほしい」というのは琵琶湖で漁業を行う中村さん。
鹿児島県で小型定置を操業する川畑さんは、遊漁の資源管理や、資源評価の精度向上を求める声を届けました。
富山県で底引き網漁業を操業する野口さんからは、地元で長年取り組んでいる資源・経営を維持する方法「プール制」の紹介と、沿岸漁業の自主管理の有用性についてお話がありました(富山湾しろえび俱楽部)。
佐賀県で海士漁などを行う袈裟丸さんは、密漁対策の実効性の確保を訴えるとともに、20年来取り組む藻場の造成活動(磯焼け対策)の成果を報告し、それを支援する水産多面的発揮対策事業の継続を求めました(YouTube袈裟丸チャンネル「藻場保全活動」)。

水産庁山口長官は、それぞれの疑問や不安に耳を傾け、丁寧に回答しました(回答の内容は以下の水産庁資料をご参照ください)。

【水産庁資料】
●水産庁WEBサイト「水産政策の改革について」
https://www.jfa.maff.go.jp/j/kikaku/kaikaku/suisankaikaku.html

●沿岸漁業の皆さんへ~新しい資源管理の話~
https://www.jfa.maff.go.jp/j/kikaku/kaikaku/attach/pdf/suisankaikaku-38.pdf

意見交換会を終え、全国漁青連会長の中村さんは「漁業は成長産業であるとともに、持続産業。時代にあったルール作りは大切だが、それを守らなければ意味がない。実行する主体は私たち漁業者。若手、ベテランが同じ方向を向いて動かなければならない」と今後に向けた思いを述べるとともに、改めて水産庁のトップと直接話すことができたことに感謝を伝えました。

  • JF全漁連編集部

    漁師の団体JF(漁業協同組合)の全国組織として、日本各地のかっこいい漁師、漁村で働く人々、美味しいお魚を皆様にご紹介します。 地域産業としての成功事例や、地域リーダーの言葉から、ビジネスにも役立つ話題も提供します。 SakanadiaFacebook

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