日本の漁師たち 漁村女性の活躍へ! 「第23回 JF全国女性連フレッシュ・ミズ・プログラム」開催 2022.12.13 JF全漁連編集部 印刷する JF全漁連は11月22日、「第23回JF全国女性連フレッシュ・ミズ・プログラム」をオンライン開催しました(共催:JF全国女性連)。 このプログラムは、漁協女性部員および若手の漁村女性が将来の女性部活動を担うべき人材となるための一助として、また早期段階における横断的な人的ネットワークや経験を会得することを目的に、毎年開催されています。 昨年、一昨年に続き本年も新型コロナウィルス感染症対策のためオンラインでの開催となり、若手を含む漁村女性部員がオンライン参加しました。 「私たちは浜のインフルエンサー!」が本年のテーマ本年は「私たちは浜のインフルエンサー!」をプログラムテーマに、漁村女性の優良事例報告をはじめ、農業分野での優良事例や他分野で活躍する女性の特別講演が行われました。 オンラインで交流した登壇者と参加者のみなさん事例1:体験学習を経て5人が漁業者に&新規女性漁業者も続々!漁村女性部の優良事例として発表を行ったのは、洋野町漁業協同組合宿戸女性部(岩手県洋野町)の高屋敷恵美子さん。令和3年度農山漁村女性活躍表彰で全国漁業協同組合連合会長賞を受賞した活動を、「女性部が担う地域ぐるみの水産キャリア教育」と題し紹介しました。 洋野町漁業協同組合宿戸女性部の高屋敷恵美子さん現在女性部では宿戸地区において、小学生から高校生にかけて切れ目なくそれぞれの学齢期に適した体験学習を実施しています。 活動のきっかけとなったのは、浜で遊ぶ子供たちの減少でした。浜の楽しさを知らないままでは将来の浜を支える人が育たないという危機感を抱き、地元の子供たちを対象とした体験学習活動がスタート。稚ウニ放流やウニの漁獲・加工、サケの加工品「さけトバ」作りなどの体験活動のほか、加工した商品を修学旅行先で販売する販売体験、豊かな海をつくるための植樹体験など、漁獲だけにとどまらない、さまざまな漁業関連の体験活動を行ってきました。 これらの活動を継続してきた結果、現在までに参加生徒の中から5人が宿戸地区の漁業者として就業。また女性部の活動が活発に続くなか、本年度は2人の若い女性が漁業者としてデビューしたほか、地区の女性2人が新たに漁業士となり、活躍しています。 新たな担い手や若い漁業者が増えてきたことから、今後はSNSなどの新しい情報発信手段も活用して、地元水産物の認知向上にもつなげていきたいと語りました。 事例2:SNSも活用。「お互い様」のフォロー体制で就労環境改善次に事例発表を行ったのは株式会社村上農園代表取締役の村上枝里さん。令和3年度農山漁村女性活躍表彰で農林水産大臣賞を受賞した活動を、「女性の活躍の場を広げるために取り組んだ就労環境改善」と題して発表しました。 ご自身も3人の子育て中の村上さん。仕事をすると子ども主体で動くことが難しいと感じた経験に基づく企業方針の一つ、「出産後の女性の社会復帰の場として気軽に働ける場所づくり」について、LINEカレンダーの活用や、時短勤務などの柔軟な勤務時間設定、急な休みが必要な女性でも無理なく就労できる組織づくりなど、不可能を可能に変えた新しい取り組みを紹介しました。 株式会社村上農園 代表取締役 村上枝里さん働きやすい環境、やりがいのある仕事は、結果として従業員の若返りや雇用安定化を実現。販売額や経営面積のアップという成果にもつながってきました。 今後も「女性が活躍できる環境づくり」を続けることで、「たくさんの女性たちと一緒に笑いながら仕事をしていきたい」と語りました。 情報共有:人生100年時代の「お金の話」全国共済水産業協同組合連合会普及・研究部次長の部原一弘さん情報提供の部では全国共済水産業協同組合連合会普及・研究部次長の部原一弘さんより、「知っトク!いまどきの『お金』の話~年金や介護は若いうちから備えておこう~」と題し、人生100年時代に知っておきたい「お金の話」が紹介されました。 特別講演:平日会社員×育児×発酵料理研究家の活動の秘訣は・・・?最後に、Sakanadiaライターでもあり、発酵料理研究家でCozy Kichen(コージーキッチン)代表の高木佐知子さんより、「発酵子育てキッチン~無理なく続けることが大切~」と題した記念講演がありました。 ▶Sakanadia/ライター高木佐知子さんの紹介&記事一覧ページ https://sakanadia.jp/writer/takagi_sachiko/ Cozy Kitchen代表の高木佐知子さん小学生を含む3人の子育てをしながら平日フルタイム会社員として働きつつ、発酵料理研究家として執筆活動や講演活動、レシピ・メニュー開発などの活動を続ける高木さん。活動のスタートは3人目のお子さんの育児休業期間中という、女性としては育児と家庭と仕事に最も忙しい時期のことでした。 多忙極める日々のなかでどうやって活動を続けているのか・・・? 平日のタイムスケジュールを公開しSNS活用やアプリ利用について具体的に紹介しました平日のタイムスケジュールを公開しながら、SNSを活用した広報活動や、スマホアプリを使った移動時間での執筆活動など、働く子育て世代の女性ならではの、新たなツールを活用した活動方法についての工夫や具体的な時間のやりくりを紹介しました。 今後も会社員を続けながら家庭を優先しつつ、休むことはあっても、とにかく無理なく「続けること」を目標として、子育てが落ち着いた後には次世代を応援する側として、地域の若い人や子供たちの活躍の場、雇用を生み出すような起業もしたい、と語りました。 各発表・講演の後には参加者との意見交換で交流の時間も事例発表や記念講演で紹介されたお話で共通していたのは、女性ならではの経験に基づく視点を生かした活動でした。それぞれの地域で、それぞれの分野で、女性たちが試行錯誤しながら継続して活動していることが、若い世代の育成や女性が働きやすい環境づくり、さらに地域の活性化につながっているのだと感じました。 * * * Sakanadia関連記事 ▶第22回JF全国女性連フレッシュ・ミズ・プログラムをオンライン開催 https://sakanadia.jp/gyogyou/fresh-miss_22/ ▶コロナ禍も頑張る漁村女子!オンラインで情報交換—JF全国女性連フレッシュ・ミズ・プログラムを開催— https://sakanadia.jp/torikumi/fresh-miss_21/ 女性JF全漁連漁協(JF)漁師女性活躍研修女性部JF全漁連編集部漁師の団体JF(漁業協同組合)の全国組織として、日本各地のかっこいい漁師、漁村で働く人々、美味しいお魚を皆様にご紹介します。 地域産業としての成功事例や、地域リーダーの言葉から、ビジネスにも役立つ話題も提供します。 SakanadiaFacebookこのライターの記事をもっと読む
長崎のポジティブ漁師、明日の漁業を照らす長崎県長崎市野母(のも)半島で定置網を経営する平山孝文さん(46歳)。浜に出ると、地域の人たちが笑顔で話し掛けてくる。水揚げが終わり、陸に上がると「よく働くなぁ」と先輩たちが寄ってくる。 人生の先輩方2020.3.12日本の漁師たちJF全漁連編集部
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漁師の経営塾、オンライン同窓会で情報交換JF全漁連が2018年度から開講している「浜の起業家養成塾」。 将来の浜のリーダー育成を目的とし、経営やリーダーシップなどを集中的に学ぶことができる、いわば“漁師の経営塾”です。 今回は、1月15日に2021.3.16日本の漁師たちJF全漁連編集部
「漁師になりたい小学生」からの質問に、現役漁師さんが回答!JF全国漁青連(若手漁師を中心とした漁協青年部の全国団体)では毎年、東京・練馬区立春日小学校で出前授業を行っています。 ▶若手漁師が東京・練馬区立春日小学校で出前授業 ▶JF全国漁青連が東京・練馬区立2022.12.21日本の漁師たちJF全漁連編集部
JF全国漁青連が東京・練馬区立春日小学校で出前授業—今年で5年目漁業協同組合青年部の全国団体であるJF全国漁青連は10月19日、練馬区立春日小学校で出前授業を実施しました。 春日小学校での出前授業は今年で5回目。昨年に続き中村清作会長、川畑友和副会長、平山孝文顧問2021.11.10日本の漁師たちJF全漁連編集部