大臣賞など決定!「浜プラン」で所得UP

「浜プラン」って?

「浜の活力再生プラン」、通称「浜プラン」は地域ごとの特性を踏まえて、漁師や漁協(以下JF“じぇいえふ”)、市町村などでつくる組織(地域水産業再生委員会)が自ら立てる取組計画。

その地域の人たちが自分たちで課題と解決策を考え、業界を越えた連携もしながら取り組む、ボトムアップの水産政策で、2014年から実施しています。

2020年度で7年目を迎えるこの政策によって、これまでに全国に約644の浜プランが出来上がり、各プランに基づいた取り組みが着々と実施されています。

JF全漁連は、漁師がつくるJFの全国連合会として、各地の浜プランの作成や実践をサポートしています。

ちなみに、、、
「浜」(はま)は、水産業界の人が良く使う言葉。業界用語ですね(笑)
「海」や「漁港」、「沿岸域」のことだけでなく、漁業を行っている地域全体を指すこともあります。
「浜プラン」の「浜」は「地域」というニュアンスで使っています。

優良事例でノウハウ共有、今年はWEBや事例集で

事例集を作成したJF全漁連浜プラン担当職員たち

JF全漁連は、各浜が行う取り組みを全国のJFや漁師たちに横展開し、各地の活動の更なる発展につながるよう、優良事例を表彰することで全国に情報発信しています。

毎年3月に盛大に表彰式を開催しているのですが、本年度は新型コロナウイルス感染対策のため式は中止に。

でもでも、各地の取り組みはみんなに知ってほしい!!

ということで、浜プランのサポートをするJF全漁連・浜再生推進部から受賞地域の取組を簡単に紹介してもらっちゃいましょう!

そうそう!受賞地域の取り組みについて、写真などを使って説明した「2019年度浜の活力再生プラン優良事例表彰受賞事例集」(←タイトル長い(笑))も作成、配布しています。
ぜひ、ダウンロードしてご活用ください。
▶「2019年度浜の活力再生プラン優良事例表彰受賞事例集」ダウンロードはこちら

また、来年度以降、受賞地域の取り組みを取材したコラムも「浜プラン.jp」で発信予定です。お楽しみに~!

※以下、浜プラン.jp<レポート>より転載。

【農林水産大臣賞】には但馬沖底びき網漁業部会

麹の魚醤

審査基準に基づき総合的に優れた取組を行っている再生委員会に授与される「農林水産大臣賞」を受賞したのは、兵庫県地域水産業再生委員会 但馬沖底びき網漁業部会。

ズワイガニやホタルイカなどの高鮮度な漁獲物を県内外でPR。

消費や販路を拡大して魚価を向上させるとともに、自主的な資源管理を積極的に推進し、漁業経営を改善させました。

【この地域の浜プランを詳しく見る】

【水産庁長官賞】は岩手県重茂、宮崎県串間市東の2地区から

農林水産大臣賞に準じる総合的に優れた取組を行っている再生委員会に授与される「水産庁長官賞」を受賞したのは、岩手県宮古市重茂地区地域水産業再生委員会と宮崎県の串間市東地区地域水産業再生委員会。

重茂地区:ワカメ、コンブ養殖施設

岩手県宮古市重茂地区地域水産業再生委員会では、養殖ワカメのブランド化を進め、組合員向けの情報配信システムを活用した養殖管理体制を構築。

東日本大震災からの復興に取り組み、漁業所得の向上を実現しました。

【この地域の浜プランを詳しく見る】

串間市東地区:定置網体験漁業

串間市東地区地域水産業再生委員会では、加工品の6次産業化、共同出荷などの魚価向上の取組により漁業所得が増加。

地区全体で新規就業者の受け皿としての機能も担い、若手漁業者を呼び込み、地域振興に寄与しました。

【この地域の浜プランを詳しく見る】

【JF全漁連会長賞】に千葉県夷隅地区、鳥取県西部が

水産庁各賞に準じる総合的に優れた取組を行っている再生委員会に授与される「全漁連会長賞」を受賞したのは、千葉県地域水産業再生委員会 夷隅地区部会と鳥取県西部地域水産業再生委員会。

夷隅地区:キンメダイ

千葉県地域水産業再生委員会 夷隅地区部会では、釣りキンメダイのブランド化に向け、厳しい品質管理に取組みました。

首都圏などの消費地で、漁業者やJF、関係者が一体となり、勝浦産の水産物をPR。漁業所得を伸ばし、経営安定につながりました。

【この地域の浜プランを詳しく見る】

鳥取県西部:アカモク

鳥取県西部地域水産業再生委員会では、未利用資源のアカモクで6次産業化を推進。販路を開拓し、漁業者や漁協の重要な収入源に。
地域の福祉作業施設や加工場と連携し、新たな雇用や収益を生みました。

【この地域の浜プランを詳しく見る】

【農林中金理事長賞】に長崎県北九十九島地区

煮干しいりこ

とりわけ水産加工業、流通業など、地域の周辺産業に貢献する取組を行っている再生委員会に授与される「農林中金理事長賞」を受賞したのは、長崎県の北九十九島地区地域水産業再生委員会。

カタクチイワシの品質向上により煮干しの単価が改善。養殖トラフグのブランド強化では、異業種と連携のうえ市内外でPRを強化。
試験販売を継続し、認知度を向上させました。

【この地域の浜プランを詳しく見る】

【JF共水連会長賞】は山口県豊浦地区から

ケンサキイカ

とりわけ若手漁業者、高齢漁業者、女性の参加など浜全体の再生・底上げに繋がる取組を行っている再生委員会に授与される「共水連会長賞」を受賞したのは、山口県の豊浦地区地域水産業再生委員会。

垣根を越えて新規就業者の確保・育成対策について、漁業者が時間をかけ合意形成を図りました。その結果、若い漁業者とその家族が増加し、地域の水産業の発展につながりました。

【この地域の浜プランを詳しく見る】

【漁済連会長賞】に佐賀県有明海地区

漁協直売所「まえうみ」

とりわけ安定的な収益が確保され、漁業所得の向上に寄与する取組を行っている再生委員会に授与される「漁済連会長賞」を受賞したのは、佐賀県有明海地区地域水産業再生委員会。

日本一の生産を誇る佐賀のりの地域ブランドの強化と販路の拡大、経営の効率化、漁場環境の保全などの取組を実施。ブランド価値を向上させ、目標を上回る漁業収入を達成しました。

【この地域の浜プランを詳しく見る】

「主体性、協同が大切」審査委員長コメント

選定委員会の委員長を務めた東京海洋大学 工藤准教授によるコメント(要旨)は、以下のとおりです!

【工藤委員長 コメント】
今回表彰される8地区の浜プランは、いずれも全国の模範となる優れた取組です。優れた浜プランには共通点があります。それは以下の3つの総合性が優れているということです。

一つ目は、地域全体の漁業・水産資源に対応するといった「対象の総合性」、二つ目に生産から消費に至るまでの課題解決に取り組むといった「取組の総合性」、三つ目に浜を構成している多様な人々が取組に参加するといった「担い手の総合性」です。

浜プランにおいてこの3つの総合性が発揮されている地区は、浜の活力が再生している地区といってよいでしょう。

浜プランは、浜の構造改革です。浜の活力を再生するには、浜の主体性、望ましい将来像を描く力、そして協同の力が必要不可欠です。これからも全国の浜において浜プランがさらに発展していくことを期待しています。

 

【過去の事例集もご覧いただけます】
2018年度版
2017年度版

各地の浜プラン検索、事例紹介コラムは浜プラン.jpで!

  • JF全漁連編集部

    漁師の団体JF(漁業協同組合)の全国組織として、日本各地のかっこいい漁師、漁村で働く人々、美味しいお魚を皆様にご紹介します。 地域産業としての成功事例や、地域リーダーの言葉から、ビジネスにも役立つ話題も提供します。 SakanadiaFacebook

    このライターの記事をもっと読む

関連記事