糀で時短レシピ「薬味五重奏♪糀酢めしでカツオのゴマ漬けごはん」

「カツオ」が大好きです。スーパーで気軽に買えるお刺身の中で3本の指に入るほど。
あっさり、モチっとした“初鰹”も好きだし、食欲の秋にぴったりの、トロっと脂ののった“戻り鰹”もどちらも好き。タタキもいいですねえ。

カツオは日本近海を北上して、戻ってくる回遊魚。季節によって呼び名が変わり、味の違いを楽しめるのは海の国日本ならではだなあと思います。

わさび醤油、しょうが醤油、おろしポン酢、サラダ仕立て…どんな味つけも似合うカツオの刺身ですが、今日は初夏から秋口にぴったりの薬味香る“ゴマ漬けごはん”はいかがでしょう?

ポイントは3つです。

▶漬けはもちろん(笑)、定番の「醤油糀」で

▶砂糖を使わずヘルシーな「塩糀酢めし」

▶香りのハーモニーが楽しい「合わせ薬味五重奏」

今回も時短でかんたんですよ~。

赤酢で合わせ酢いらずの「塩糀酢めし」(赤シャリ)

まずは、酢めしを準備します。

<塩糀酢めしのつくり方>

①お米1合につき、塩糀大さじ1、昆布5センチほどを入れて固めの水加減でごはんを炊きます。

②炊きあがったごはんに、赤酢(米酢でもOK)を入れて混ぜれば赤シャリのできあがり。(1合あたり大さじ1・1/2)

※甘口が好きな方は、砂糖少々を加えて。

昆布と塩糀を入れて炊いたご飯は、塩味はもちろん、旨味とほのかな甘味があります。
そこに深みのある「赤酢」を入れるだけで、かんたん酢飯ができます。

江戸時代に生まれた「赤酢」

「赤酢」さまざまなメーカーから出ている

ところで、「赤酢」ってご存知ですか?

米から作られたお酢で一般的なのは、白っぽい「米酢」、玄米から作られた「黒酢」もおなじみですね。
「赤酢」は、酒粕から作られたお酢です。
酸味がまろやかで芳醇な旨味が特徴。

江戸時代に誕生した“握りずし”ですが、当時は米酢が高級品でした。
その米酢に変わって考案されたのが酒粕を熟成してつくられた「赤酢」。
赤酢を使った酢飯「赤シャリ」は、その風味が江戸前の魚にぴったり!と江戸っ子たちに評判になったそうです。

実は魚の“漬け”も、冷蔵庫が無かった時代に生魚を長持ちさせる保存の知恵。
赤身の漬けは、赤酢の深みのあるまろやかな風味と相性ばつぐんです。

きんぴらごぼうを巻いた「コキンパ」。千葉産「サラダ海苔」使用。

赤シャリは、ごはんがひなびた印象になるのも好き。
土ものの器に合う。

このところ気に入っているのが、きんぴらごぼうを巻いた「コキンパ」。
キンパとは韓国風のり巻きのことですが、小ぶりに作った巻きずしです。

近ごろは、本格的な江戸前寿司としてシャリに赤酢を使う寿司店や、新鋭の和食店でおしゃれな赤酢料理を出すお店も見られます。まさに“温故知新”ですね。

赤酢もさまざまな醸造会社から出ていますので、探してみてくださいね。

「カツオのゴマ漬け」の具を仕込みます

話が横道にそれましたが、お次はメインの「カツオのゴマ漬け」。
材料はこちらです。

シンプルながら薬味は5種!この合わせ技がミソなのです~。

<カツオのゴマ漬けのつくり方>

①まず、合わせ薬味を作ります。

1.しょうが・・・みじん切りに
2.万能ねぎ・・・小口切りに
3.貝割れ大根・・・3等分の長さに
4.みょうが・・・縦半分にしてから小口切りに
5.大葉・・・せん切りに

合わせて水に5分さらし、水を切る。

多めに作ってタッパーにキッチンペーパーを敷いて密閉すれば、冷蔵庫で数日もちます。
そうめん、お肉の薬味、サラダのトッピングなど重宝しますよ。

②カツオはスライスして、醤油糀・ゴマ油で和えます。
冷蔵庫で10分ほど休ませる。

③②をお皿に並べ、すりゴマを全体に振ってから、①の合わせ薬味を盛り付ける。

④茶碗に赤シャリをよそい、スダチを切って、わさびを添えて食卓に並べてできあがり~。

醤油糀は魚の“漬け”に本当に便利。
お好きな旬のお刺身で1年中お楽しみください。

まずはゴマ漬けに薬味をのせて、そのまま食べたり、ご飯にのせてスダチを搾ったり。
おろしわさびをちょこんとのせても。自由に楽しんで。

忙しい平日の夜でもサッと作れる“火を使わない”ごはんだけど、これは何となく休日にまったりといただきたい。
暑い日の休日はパパっと家事を切り上げて、まだ日の落ちきらぬ夕方から、ゆっくりと味わいたいものです。

サッパリした酢めしとスダチ、5種の薬味は、口の中でそれぞれの香りが主張しながらも調和して、ゴマ風味のカツオ漬けの旨味を引き立てる。
少し目を閉じて、そんなハーモニーを味わっていたら夜の涼しさと共に、暑さにバテた身体がいつのまにか癒されていくようです。

合わせ薬味とスダチは、戻り鰹の頃まで楽しみたい爽やかコンビですよ。

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  • 高木 佐知子(たかぎ さちこ)

    Cozy Kitchen代表。糀マイスター、みそソムリエ。 「発酵子育てキッチン」連載がスタート! 2019年11月~2020年11月まで、「糀で時短レシピ」を連載。糀の力を活用した、簡単だけどおいしくてヘルシーなレシピを紹介してきました。 2020年12月からは、「発酵子育てキッチン」と題し、リアルな子育て・食育奮闘記の連載がスタートしました。   【現役ワーママの食育事情―「発酵子育てキッチン」連載にあたり】 年の差三姉妹(15歳・7歳・5歳)の子育てと通勤生活に奔走する中、“糀でおいしく健康&毎日無理ない炊事”をテーマに日々料理研究している高木です。   子育てと通勤をこなす日々は本当に忙しいです! 高木家では、毎日の炊事は時短が基本だけどときどき子どもたちと“キッチンに立つ”時間を大切にしています。   料理を任せたときの、子どもの真剣な眼差し。これがたまらなくいいのです。そしてできた!時のキラキラした笑顔。きっと子どもの力になると信じています。   「食べること」=「生きる力」。 「食育」という言葉が定着して久しいけれど、食の基本は家で育むものと思います。   とはいえ、私もドタバタ子育て真っ最中で自信なんて全くありません! 時間の余裕のなさに、家族にイライラをぶつけてしまって反省することもよくあること。   何が正しいかなんてわからないけど、“台所仕事は楽しい”を共有できたらきっといい時間になるし、子どもの生きる力につながるはず…と。   平日は忙しくとも、ゆっくりできる週末に家族で農業体験をしたり、季節の発酵食品づくりをしたり、魚を丸ごと捌いたり・・・・・・。 そして時には食育失敗談も…!?高木家のリアルな“発酵子育てキッチン”をお伝えできたら…と思います。   ——“発酵”を待つように、成長をあせらず見守りたいな。親も子も一緒にのびのび発酵♪   【略歴】 旬の魚とお酒に目がないワーキングマザー。日本さかな検定2級。 千葉県生まれ。農家の祖父母のもとに育ち、幼少より発酵食品に親しむ。現在は子育てと仕事に奔走する傍ら、料理研究する日々。自家製発酵食品を活用して、忙しくても無理なく続けられる“台所仕事”とお気楽“食養生”を、身をもって実行している。 活動実績は、発酵料理講師、飲食店の糀メニュー監修・レシピ開発、メディア取材協力、第2回フレッシュミズ部会講師、プライドフィッシュを使った料理教室など。流山市在住。   Cozy Kitchen〜醸す台所〜 Facebook:https://www.facebook.com/cozykitchen.jp/ Instagram:https://www.instagram.com/cozykitchen_jp/

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