海洋建設株式会社の「廃棄貝殻を活用したメキシコにおける里海づくり」プロジェクトが2025年度NIKKEIブルーオーシャン大賞を受賞

JF全漁連が推進する貝殻リサイクル魚礁「JFシェルナース」の製造元であり、Sakanadiaの協賛企業でもある海洋建設株式会社(岡山県倉敷市 以下、海洋建設)が取り組んだ「廃棄貝殻を活用したメキシコにおける里海づくり」プロジェクトが「2025年度NIKKEIブルーオーシャン大賞※」を受賞しました。

海洋建設は、「JFシェルナース」の技術を活用しJFグループと30年以上にわたり連携し、日本国内で豊かな海づくりに取り組んできた企業です。日本国内で培った技術と知見を用いて、メキシコのカリフォルニア湾で漁業資源の回復と環境保全を両立した取り組みを成功させ、その実績が評価され、この度の大賞受賞に至りました。今回は、本プロジェクトの概要や、今後の展望についてご紹介します。

※NIKKEIブルーオーシャン大賞:海洋環境の保全、水産資源の適正な利活用に向けて意欲的に取り組む企業・団体・個人などを表彰するもので、大賞および各部門賞で構成されています。

JICAの支援事業として2017年に調査開始

メキシコのカリフォルニア湾は豊かな漁場である一方、乱獲による漁獲量の減少や生物多様性の危機に直面していました。さらに、年間約1,400トンも発生する貝殻の廃棄処理が長年の地域課題となっていました。これらの課題に対し、日本の「里海※」の知見と技術を活用するべく、2017年にJICA(国際協力機構)の支援事業として調査が開始されました。

※里海:人手が加わることにより生物生産性と生物多様性が高くなった沿岸海域のこと (出展:環境省 里海ネット)

山積みの貝殻 南バハ(カリフォルニア州)

当初は日本と同様の大型魚礁の設置を計画していましたが、現地には大型クレーンなどの重機がありません。そこで、現地の環境に合わせて人力で扱えるサイズへと計画を変更し、2021年からの普及・実証事業でその効果を検証しました。

導入されたのは、一辺が0.75mのサイコロ状(立方体)の小型人工魚礁「JFシェルナースサイコロ型」です。漁業者が人力で小型船に積み込み、海へ投入できるサイズ(空中重量約60㎏)に設計されました。これを積み重ねることで、大規模な漁場の造成を可能にしました。

現地では漁業者がケースに貝殻を詰め、小型漁船に積み込んで造成箇所に投入しました。この過程は、地域の雇用を生むだけでなく、漁業者自身が「自分たちの海を育てる」という主体性を持つきっかけとなりました。

現地漁業者によるサイコロ型製作
人力による設置作業

2026年1月までに600基以上を設置。これまでにイサキやフエダイ類など41種、最大1万3000尾以上もの生息が確認され、確かな効果が実証されています。

600基以上の魚礁を設置

特筆すべきはその持続性です。設置から2年が経過してもなお、元のサイコロ型が見えなくなるほど多くの魚が密集しています。

設置から2年経過後も濃密な群れが確認された
現地では高級魚のフエダイの仲間も集まっていた

受賞に際し、海洋建設の片山真基社長は「海の中という見えない世界で、『見たことを記録し、考える』地道な作業を続けてきた結果です」と語り、苦楽を共にしたパートナー企業や関係者へ深く感謝の意を表しました。

現在、現地では新たな動きも始まっています。行政や漁業者が連携する「里海協議会」が発足し、独自の予算確保やリゾート企業との協議など、地域一体となった活動が加速しています。

現地で潜水調査を行う片山社長

片山社長は、この「里海の理念」と「貝殻魚礁の技術」こそが、気候変動や生物多様性の喪失といった地球規模の課題を解決する策の1つになると確信しています。「豊かな海を次世代へ引き継ぐ」という使命を胸に、今後も活動を続けていく方針です。

また、本プロジェクトにて活用された「JFシェルナースサイコロ型」は、メキシコで導入されて以降、日本国内でも大分県や徳島県、岡山県などで採用されるなど、徐々に広がりを見せています。

大分県では、ピラミッド状に積み重ねて沈設し、イサキの稚魚を放流する拠点として活用されました。潜水調査の結果、放流したイサキがシェルナースに多く集まっている様子が確認できており、イサキの減少を危惧する地元の方々からも期待の声が寄せられています。

放流後、サイコロ型に集まるイサキ種苗

JF全漁連では、これからもJFグループおよび海洋建設と連携し、「JFシェルナース」を活用した豊かな海づくりの活動を広げていきます。

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  • JF全漁連編集部

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