「JF女性部で再発見」をテーマにJF全漁連とJF全国女性連が研修会を開催 第31回グループリーダー研究集会・第26回フレッシュ・ミズ・プログラム

JF全漁連とJF全国女性連は10月29日(水)、「第31回グループリーダー研究集会」と「第26回フレッシュ・ミズ・プログラム」を合同開催しました。
今回のテーマは「JF女性部で再発見~海の豊かさと次代へ繋げていきたい女性部の魅力~」。当日は、若手を含む約70人の漁村女性・女性漁業者が全国各地から参加し、女性部活動に関する講演や事例発表、グループワーク、海藻おしばを使ったワークショップなどが行われました。

全国各地から約70人が参加

JF全国女性連は、漁協(JF)女性部の全国組織で、環境保全活動や魚食普及活動、女性参画運動など、漁村女性の地位向上を目指した活動を展開しています。
この研究集会とプログラムは、漁村女性能力発展・実践活動促進支援事業(水産庁補助事業)の一環として、毎年開催しています。

講師による講演や事例発表を実施

最初に、農林中金総合研究所の主任研究員である田口さつきさんが「活動からたどる漁協女性部の歩み~海はひとつ 女性部の心はひとつ~」と題した講演を行いました。
田口さんは全国の浜にあるJF女性部のこれまでの活動を振り返った上で、最新の活動事例として、JF山口長門女性部による未利用資源であったガンガゼウニの商品開発について紹介し、「日常の助け合いが漁村の文化の土台になっていることを改めて認識して欲しい」と指摘しました。
最後に、本Webメディア「Sakanadia」において、JF女性部によるさまざまな取り組みなどを紹介していることを報告し、「さまざまな事例が紹介されているので、是非参考にしてほしい」とPRしていただきました。

農林中金総合研究所の田口さん

次に、神奈川県横須賀市にある丸良水産の長塚由美さんが「海洋環境の変化に対応した丸良水産の取り組み」と題した事例発表を行いました。
丸良水産では、海洋環境の変化を受け、「身のまわりから一つ一つ」、「生業を継続する」、「海洋環境を守る」などを軸に、さまざまな取り組みを行っています。その中から今回は、ノリを乾燥させる過程で排出される二酸化炭素の量を少しでも削減させることを目的に始めた生ノリの製造・販売と、海水温上昇への対応として5年前から取り組んでいる海ぶどうの養殖事業について紹介しました。
長塚さんは「何か特別なことをするのではなく、今ある資源、もの、人の繋がりを活かして、身の回りから一つひとつ、コツコツと挑戦していくことが重要だ」と語りました。

丸良水産の長塚さん

ワークショップ、グループワークも実施

ワークショップでは、海藻おしば協会による万華鏡づくり教室が行われました。
講師を務めたのは海藻おしば協会の事務局長である高山優美さん。
海の中での海藻の役割やブルーカーボンの仕組みについての紹介後、海の環境学習として開催している「海藻おしば教室」で使用している海藻を利用して、万華鏡づくりに参加者全員でチャレンジしました。

海藻おしば協会の高山さん
参加者全員で海藻を使った万華鏡づくりにチャレンジ

「女性部だからできたこと~海洋環境や時代の変化を乗り越える~」をテーマにしたグループワークでは、参加者が8グループに分かれ、女性部が直面している課題とその対応について、それぞれ発表しました。
講師を務めた農林中金総合研究所の主任研究員である田口さつきさんは、グループを構成する年齢や地域がバラバラな女性たちの距離を縮めるために、自己紹介と併せて、先輩部員には「活動の思い出話」、若手世代には「女性部に加入した動機」をそれぞれ語ってもらうことを提案。その後、自分たちが直面している課題とその対応について、グループごとに発表内容を検討しました。

8グループに分かれて行われたグループワーク

各グループの発表では、喫緊の課題である部員不足について、部員を増やす方法としては「まずはイベントに参加してもらい、顔なじみになる」、「子供たちを巻き込む」、「漁家以外の人も呼び込む」などのアイデアが出たほか、「女性部活動ができなくなることで子供たちに魚のおいしさを伝えることができない」と、魚食文化が途切れることを懸念する声が上がりました。

グループ発表を行う中津喜美子JF全国女性連会長
  • JF全漁連編集部

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