JF・JF漁連向け「海業」セミナーを開催 JF由比港とJF魚津が取組事例を紹介

JF全漁連は1月21日、「第3回JFグルーブ海業セミナー」をオンライン併用で開催しました。

「海業」とは、海や漁村の地域資源の価値や魅力を活用し、漁村の活性化を目指す取り組みです。
本セミナーは「海業」に関心のある全国のJF、JF漁連などを対象に、「海業」に取り組む検討を進める上で参考となる情報を提供することを目的としています。

今回は、水産庁や複数のJFによる取組事例の紹介のほか、トークセッションを通じた発表内容の深掘りを行いました。登壇者と参加者(会場、オンライン合わせて100人超)との質疑応答では、活発な意見交換が行われました。

主催者あいさつで日本の漁業・水産業が持つポテンシャルについて言及

冒頭、JF全漁連の三浦秀樹常務があいさつし、「海洋環境の激変により、漁獲量が大幅に減少している中にあっても、漁業産出額は回復傾向にある。これは漁業・水産業が大きなポテンシャルを秘めていることの証であり、ポテンシャルを一層引き出し、さらなる漁業者・漁協の所得向上につなげていくための手段の1つとして、海業の取り組みがある」との考えを述べました。

あいさつする三浦常務

水産庁が「海業」の推進に向けた政策や事例などを紹介

基調講演では、水産庁漁港漁場整備部海業振興室の染川洋室長が「海業の推進について」と題して、国による「海業」推進に向けた政策や事例などを紹介しました。

水産庁の染川海業振興室長

染川室長は、漁港漁場整備法の一部改正に伴い創設された「漁港施設等活用事業制度」および同制度を活用した取組事例、海業振興関係予算、海業支援パッケージなどを紹介しました。
さらに試行運用中の「官民連携海業振興ポータルサイト」や、昨年、全国のJFを対象に実施したアンケート調査に基づいた「漁協・漁業に向けた海業に取り組むためのガイドブック」(仮称、現在作成中)、中間支援組織活用に向けた今後のイメージなどについても言及しました。

JF由比港とJF魚津が「海業」の取組事例について講演

続いて、JFによる取組事例について、JF由比港購買部の大橋人士さんとJF魚津の濱住博之組合長がそれぞれ講演しました。

JF由比港の大橋さん

大橋さんは「由比港漁協『海業』としての取り組み」をテーマに講演し、地元駿河湾の重要な地域資源である「サクラエビ」を活用したJF由比港直営の水産物直売所や食堂「浜のかきあげや」の展開のほか、主に東京都、神奈川県の小学生を対象にした独自の漁業体験プログラムについて紹介しました。
また、今後の新たな取り組みとして、静岡新聞社や海結研究所(みゆラボ)、海釣りアプリ「海釣りGO」を提供しているウミゴーなどと連携し、中長期目標として漁業体験予約アプリ「漁業体験GO」を通じた漁業体験の仕組みづくりを検討していることを説明しました。

濱住組合長は「漁協主体の海業」をテーマに講演し、JF魚津の海業取組が1996年の魚津市内3JFの合併がきっかけとなったことや、2004年の高度衛生管理型市場オープン、水産加工の展開、移動販売車の導入などを経て、現在、「魚津丸プロジェクト」と呼ばれる漁村活性化の取り組みを進めていることについて説明しました。
同プロジェクトでは、JF直営の食堂「魚津丸食堂」「魚津丸キッチン」において地元で水揚げされる魚介類を活用したメニューを提供しているほか、宿泊施設「渚泊魚津丸」の運営も行っています。今後について、濱住組合長は「家族と楽しむファミリーワーケーションができる環境を整備したい」との考えを示した上で、現状に満足せず、新たにチャレンジしていくことの必要性を訴えました。

トークセッションでは事例を深掘り

続いて、東京海洋大学の工藤貴史教授とJF由比港の大橋さん、JF魚津の濱住組合長が登壇し、紹介した取組事例の内容に関するトークセッションが行われました。

トークセッションの模様(写真左端が工藤教授)

最後に工藤教授が総括講演を行い、「JFの事例を踏まえ、個別のサービス業として展開されていた海業が、今後は計画的に策定されていき、結果として漁業・水産業・海業の集積効果による地域資源の有効活用、および新しいデジタル技術による課題解決が進んでいく」と説明し、あわせて、「海業」におけるJFの役割の重要性を強調しました。

  • JF全漁連編集部

    漁師の団体JF(漁業協同組合)の全国組織として、日本各地のかっこいい漁師、漁村で働く人々、美味しいお魚を皆様にご紹介します。 地域産業としての成功事例や、地域リーダーの言葉から、ビジネスにも役立つ話題も提供します。 SakanadiaFacebook

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