組合学校がJF全漁連トップセミナーを開催

7月9日,全国漁業協同組合学校(以下,組合学校)より学生2名がJF全漁連本所を来訪し,トップセミナーが開催されました。

組合学校は,創立80年を超える漁協職員の養成学校です。全国のJFグループや関係団体の支援のもとに運営され,学生たちは1年間の寮生活を送りながら漁協職員として必要なスキルや資格の取得,さまざまな事業を運営するためのノウハウを専門的に勉強します。トップセミナーもその中のカリキュラムの一つです。

漁業やJFグループ、自分の果たすべき役割を意識しながら学びを進めてほしい

セミナーの開催にあたり,JF全漁連の内田珠一専務は「組合学校で学んだことや多くの人との繋がりの中で,これから漁業やJFグループはどのような形で進むべきか,あるいはその中で自分はどのような役割を果たしていくべきなのか,そういったことを意識しながら勉強すると,ただ受け身で考えるよりも前向きに物事が進むと思う。ぜひそういった意識の中で,有意義な一年間を過ごしていただければ」と冒頭挨拶を行いました。

冒頭挨拶をする内田珠一・JF全漁連専務

豊かな海を取り戻すために全漁連ができること

今年のトップセミナーのテーマは「漁業者,漁協が地域の中核として取組む海業とJFグループのサポートについて」。兵庫県の離島,坊勢島の取り組みを具体例として扱い,海水温の上昇や原油価格の高騰などによって直面するさまざまな問題やその対策,そしてJFグループがパルシステムやJF兵庫漁連と協力して行った産直提携について内田専務が講義しました。

講義の終盤,「かつての豊かな海を取り戻すために必要な予算を国に要求していくこともJF全漁連の重要な使命です」と語った内田専務。近年の海洋環境の急激な変化に立ち向かうため,組織として,役員としてなすべき役割が明確に見えているからこそ,冒頭挨拶で学生に自らの役割を意識することの重要性を説いたのかもしれません。

資料ではなく学生の目を見て,自らの経験を基に語りかける内田専務

漁業の魅力を多くの人に周知するために

講義の後,学生からは,漁業の魅力を多くの人に体感してもらうために何をすればよいのかといった質問がありました。内田専務は「修学旅行のコースの一つとして入れてもらうなど,中学校や高校にアプローチしたり,食育という言葉がありますが,そういった体験的なことも視野に入れながら,行政や教育庁,関係省庁に働きかけを行っていくことが大事。あとは,幼い時から魚を食べていれば魚ファンになってくれるでしょうから,中高生には漁協で職業体験を行うとか,最終的には後継者育成のことも考えていかないといけない」とアドバイスし,また,海業を進める上で反対意見をどのように説得すべきかといった質問には,難しい部分と認めつつ,対応策として現在行っている取り組みや戦略について説明しました。

「それは難しい問題だね」との内田専務の答えに思わず微笑む学生たち

一般的に,会社などで社員が自社の使命や価値観に共感し,果たすべき役割や社会への貢献度を認識することは,内発的なモチベーションの向上に繋がると言われます。4月の入学式から約3ヵ月,組合学校で漁協職員を目指して勉強してきた学生たちですが,JF全漁連の役割や使命を専務より直々に聞けたことは,漁業に対する彼らのモチベーションの向上に繋がったのではないでしょうか。

現在,学生たちは20日を超える漁協実習に取り組んでいます。年々暑くなる日本の夏。厳しい暑さの中での実習となりますが,組合学校でのこれまでの学びや今回の講義で得られた知見を活かし,実りの多い時間を過ごせることを願っています。

今年度の組合学校に関する記事一覧:
組合学校に第86期生2人が入学
全国漁業協同組合学校の公式WEBサイト

  • JF全漁連編集部

    漁師の団体JF(漁業協同組合)の全国組織として、日本各地のかっこいい漁師、漁村で働く人々、美味しいお魚を皆様にご紹介します。 地域産業としての成功事例や、地域リーダーの言葉から、ビジネスにも役立つ話題も提供します。 SakanadiaFacebook

    このライターの記事をもっと読む

関連記事