日本の漁師たち 「楽しかった記憶から漁師になった」 ~若手漁業者・小田優馬さんインタビュー~ 2023.5.23 全国の漁連・漁協 印刷する このコラムは、JFグループ兵庫の広報誌『拓水』No.799(2023年5月発行)の新企画「輝く若手漁業者インタビュー」に掲載された内容です。 新企画で第1回目のインタビューに応えたのは、東二見漁業協同組合(JF東二見)の小田優馬さんと関係者の皆さん。 親が漁師ではない環境に育った小田さんが漁師になろうと思ったきっかけや、漁師になると聞いたときのご家族の反応、操業してみて感じること、一日の過ごし方、今後の抱負など、リアルな本音が語られています。また親方が小田さんへ語る「漁師の魅力」、JF東二見の組合長や参事からの小田さんへのメッセージからは、漁協での新規就業者へのサポート・フォローを伺い知ることができました。 ぜひ、ご一読ください! * * * 【輝く若手漁業者インタビュー】東二見漁業協同組合 小田優馬(おだゆうま)さん小田優馬さん○自己紹介をお願いします。 ― 小田さん 小田優馬、26歳。明石市出身です。 ○漁業種類について教えてください。 ― 小田さん 小型底びき網漁業と五智(ごち)網漁業をしています。 ○漁師になろうと思ったきっかけは? ― 小田さん 親が漁師ではないんですが、小学生の夏休みに、手伝いで祖母の知り合いの漁師に沖へ連れて行ってもらってた時、楽しかった記憶があって、もともと海や魚が好きという理由で、漁師になろうと思いました。その知り合いの漁師が今の親方(橘敏太郎さん)です。 ○漁師になることについて家族の反応はどうでしたか? ― 小田さん 5年間働いていた自衛隊を辞めるというのも漁師をやるというのも、急に親に言って最初は驚かれました。その後は、好きなことをやったらいいと背中を押してくれました。 ○一日はどう過ごされていますか? ― 小田さん 朝は5時頃に集まって10分くらいで準備してすぐ出航します。14時半頃に帰港して15時頃まで片付けをします。その後の自由時間は、体動かすのが好きなので、筋トレやランニングをしています。 ○研修期間中、3年間指導した小田さんの印象はどうですか? ― 橘さん 要領よくしてくれるから、なんべんも教えんでよかった。それなりに手順は覚えていってる。 ○自分の船は持ってるんですか? ― 小田さん 持ってないです。 ― 橘さん 今からこの子やったら50年以上も沖行くのに中古ばっかり買いよったら余計お金かかるやんか、そやから新品の船にしといたったら安心やんか。今、船が出来てくるまで1年半待たなあかん。その間は一緒に行かなしょうがない。船は来年の7月ぐらいから作り始めるねんけど、鉄類がものすごい値上がりしてるから遅れりゃ遅れるほど値が上がる。補助がなかったらようできへん、補助があるおかげで作ったろかゆう気になった。 小田さんの親方、橘敏太郎さん○実際に着業してみていかがですか? ― 小田さん 着業当初は、未知の業界で最初は分からない事がいっぱいでしたが、しんどいとかはなかったです。 自衛隊で勤務していた時は決まった時間の就業で土日も休みでした。漁師を始めてからは休みがバラバラですが、慣れたら問題はないです。 あと、子どもの頃は魚に触れるという思いで、遊び感覚で漁に行ってましたが、子どもの時には気づかなかった危険が伴うことが分かったので、危機感を持って漁に出ています。 ○海の環境で思うことはありますか? ― 小田さん 他の漁師さんから、昔に獲れてた魚がおらんくなったというのはよく聞きます。実際これからタイやタコがおるんかというのは不安に感じます。 ― 橘さん 魚が少なくなってる。年によって湧く年もあれば全然おらん年もあるのは昔からやけど、ひどいもんはひどい。カレイは全然おらんし、イイダコは全滅やし、全滅の種類があって商売がしにくい。去年はタコおらんし、鯛がこれでおらんくなったらあかんとこやった。今年も一緒かな。 ○今後の抱負をお願いします。 ― 小田さん できるだけ早く周りの漁師さんから一人前になったなと言われるように頑張っていきたいです。 ○これから漁師を目指す方へのメッセージをお願いします。 ― 小田さん 最初は分からないことばっかりやったんですけど、それがだんだんできるようになってきて、自分で網を作ってそれで魚を獲ってというのがやりがいに感じます。魚を獲るにしても潮の流れを考えてやるというのもやりがいです。会社で指示を出される環境に比べると、自由だなと思います。 ○小田さんにメッセージをお願いします。 ― 橘さん 自分でやってたら、獲れた時はよかったなと思うし、あかんかったらへこんでしまう。その毎日が良かったり悪かったりで楽しい。自分で仕事をするというのはそれが魅力。不漁のときでもそれをバネにして頑張ってほしい。 個人の仕事としては自分が頑張らんなしゃーない。人が10時間働くとこ12時間働いたら自分の出来が悪くても追いつける。同じ線まで自分の頑張り次第で届くし新米でも儲けれる。なんでこんな働かんなあかんねん思うんやったら個人の商売はできへん。それぐらいの気で頑張ってほしい。 ― 大西賀雄組合長 将来の組合長。仕事真面目にしてたらこんな子やったら何人入ってもいい。若い子はなかなかおらんからな。 ― 福井基之参事 うちの組合で新規就業者研修は小田さんが初めてになります。研修の日誌や写真を撮ってくださいというのを普通にお願いして、きちんとやってくれる研修生はなかなかいないと思います。それぐらいまじめに責任感を持ってやってくれたんで、どんな業界でもきちんとやってくれる人やなと思いました。 これからの活躍を期待してます。 左から小田さん、JF東二見の大西組合長、親方の橘さん○本日はありがとうございました。 * * * Sakanadia関連記事 ▶長崎のポジティブ漁師、明日の漁業を照らす ▶大阪からのⅠターン漁師・中井恭佑さんの挑戦(三重県尾鷲市早田町) ▶伝統のシロエビ漁でガッチリ稼ぐ【前編】富山湾のUターン漁師 漁協(JF)漁師若手近畿底引き網全国の漁連・漁協全国の漁連・漁協のお知らせや活動について選り抜きの情報をお伝えします。このライターの記事をもっと読む
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