JF職員の養成学校「全国漁業協同組合学校」、2026年度の学生募集情報公開

みなさんは学校でいつごろ水産業について勉強したか覚えているでしょうか。
平成29年文部科学省告示の小学校学習指導要領では,小学5年生の社会科で「水産業」について学習し,小学5年生及び6年生の家庭科で「和食の基本となるだしの役割に触れる」よう明記されています。さらに中学校の学習指導要領には,社会科で「国内の産業の動向」「産業に関する特色」,技術・家庭科で「水産生物の栽培」について記載があります。そう言われてみればそのころ習ったような…と,いろいろ思い出す方も多いのではないでしょうか。

義務教育以降では,全国には「水産」科目を設置して専門教育を実施する水産高校が46校(2022年農水省調べ)、さらに専門的な水産系学部を設置している大学が20校あります(2020年度全国水産・海洋系学部等協議会の会員校)。一方で,漁業就業者に対して即戦力となる実践的な技術や知識を教育する「漁業学校」という教育機関が全国に点在しています。期間やカリキュラムなどもそれぞれ異なる漁業学校ですが,JFグループにも独自の漁業の教育機関が存在しています。

漁協の未来を担うオールラウンダーを育成

道漁連指導教育部佐藤次長による特別講義の様子

JFグループ唯一の教育機関である「全国漁業協同組合学校(以下,組合学校)」は,創立80年を超える歴史ある学校です。「協同組合精神を持った漁協職員の養成」を目的に設立され,全国のJFグループや関係団体の支援の下に運営されています。

全国各地から集まる学生は,1年間の在学期間中に同期生とともに寮生活を送りながら,協同組合論をはじめとする漁協の運動・事業・経営に必要な理論や実務知識の習得,簿記やパソコン技能の資格取得など*,JFグループ職員として必要な基礎を学ぶことができます。座学だけではなく,各地の漁協や関係各所での見学研修・実習なども行い,将来の漁協を担う若きリーダーとして幅広いカリキュラムで専門的な知見を体得していきます。

*簿記は日商簿記3級,パソコン技能はマイクロソフトオフィススペシャリストの合格を目指して学習します。その他,危険物取扱者乙種第4類,ビジネス能力検定試験ジョブパス3級,希望者は小型船舶やフォークリフトの実技講習が受けられます

JF全漁連トップセミナーにて挨拶する坂本会長。この後,内田専務の講義がありました
ぎょれん鹿島食品センターにて実地研修。抗菌白衣に着替えると身も心も引き締まります
日生協にて魚のヒスタミン検査を体験。試薬の検液でヒスタミン反応と濃度を確認します
久慈町漁協・会瀬支所にて実地研修。会瀬港は茨城県内では唯一の定置網漁があります
豊洲市場見学でターレを試乗。ちなみにターレは小型特殊自動車のため,運転するためには普通免許が必要です
豊洲市場のマグロの競りを見学。外国人観光客にも人気で,この日も2階から大勢の人が見学していました

学生の自治と協同の精神の育成

組合学校では,漁業や組合に関するさまざまなことをあらゆる側面から学ぶことができますが,一方で,寮生活をはじめとして,学生の自治会で運営するレクリエーション(ボウリング大会,野球大会など)や東京海洋大学の海鷹祭に出店するなど,仲間とともに共同生活・活動を送ることによって「学生の自治」や「協同の精神」を養っていきます。

天気の良い日に屋外で仲間と食べるBBQは最高です
だからもう本当にいくらでも食べられます
海鷹祭にて商品を販売。興味本位で立ち寄ったお客さんは何か買うまで帰れないかも?
サメの置物と化すNくん。一見やる気がなさそうに見えますが,販売戦略の一つです。
野球大会で出塁の喜びを表現するMくん
大東文化大学での講義前に,小江戸・川越の氷川神社を観光。縁むすび風鈴も有名ですね
やっぱり最後は魚

入学する学生の中には,JFグループへの就職希望者だけでなく,漁師になるため,漁協の仕事を学ぶために志望する学生もいます。就職率は近年100%を維持しており,組合学校の卒業生もここで培った知識と経験を活かして全国で活躍しています。

Sakanadiaでは毎年組合学校の入学式や卒業式の様子をレポートしていますが、ご覧になった方は学生の数がずいぶん少ないことに驚かれたかもしれません。全国の教育機関が抱える問題と同様,組合学校においても学生数の減少が目立ちますが,こうした影響を受けても,組合学校では講師数を減らすことや教育の質を下げることはせず,講師とより近い距離で授業を受けることができます。

実習地では漁業ならではの絶景も堪能できます

2026年度学生募集の詳細

組合学校の2026年度(第87期)の学生募集の詳細は既にHPで公開されており,入学願書の提出は8月18日からとなっています。漁業や協同組合に興味・関心のある人はもちろん,漁業に関わるための幅広い知識を身につけたいという皆さん(男性だけでなく,女性の方でも)のたくさんのご応募をお待ちしております。

国会議事堂前にて。みなさんの応募をお待ちしております!

【対象】
・一般
募集人員:第1回 20人、第2回 若干、第3回 若干(男女共学)
修業年数:1年
応募資格:学校の定める入学条件に該当する者
・現職者
募集人員:第1回 5人、第2回 若干、第3回 若干(男女共学)
修業年数:1年
応募資格:漁業協同組合系統団体等の現職者で、勤務先の推薦を得て卒業後は復職が確約とされた者

【願書受付期間(一般&現職者)】
第1回:2025年 8月18日(月)~10月10日(金)
第2回:2025年10月29日(水)~12月22日(月)
第3回:2026年 1月 5日(月)~ 2月 2日(月)

【入学選考/合格発表(一般&現職者)】
第1回:2025年10月28日(火) / 11月11日(火)
第2回:2026年 1月20日(火) /  2月3日(火)
第3回:2026年 2月17日(火) /  3月3日(火)

※詳細については組合学校WEBページに掲載の募集要項をご覧ください。

▶全国漁業協同組合学校の公式WEBサイト

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  • JF全漁連編集部

    漁師の団体JF(漁業協同組合)の全国組織として、日本各地のかっこいい漁師、漁村で働く人々、美味しいお魚を皆様にご紹介します。 地域産業としての成功事例や、地域リーダーの言葉から、ビジネスにも役立つ話題も提供します。 SakanadiaFacebook

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