2020年度食料自給率は過去最低水準、新型コロナの影響か?

JF全漁連Sakanadia編集部です。

新型コロナウイルスの感染者数は昨年後半に減少したものの、2022年に入ってから急増し、「オミクロン株」の市中感染が各地に広がりを見せています。
そして、新型コロナウイルスの感染拡大は、私たちの食生活や食料の需給に影響を与え続けています。
今回は、これらの状況を踏まえた上で、昨年8月末に農林水産省から発表された2020年度の「食料自給率」の概要などについて、ご紹介します。

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食料消費に変化をもたらした新型コロナウイルスの感染拡大

イメージ写真(出典:Kaboompics https://kaboompics.com/)

新型コロナウイルスの感染拡大は、人の移動等に影響を与え、食料の消費にもさまざまな変化をもたらしました。
緊急事態宣言等により、外出の自粛等が呼びかけられ、我々は家の中で過ごすことが求められました。また、百貨店や娯楽施設、飲食店等の営業の自粛等により、外食の需要は大幅に減少しました。
そして、これらの生活上の変化は、「外食の減少と家庭食の増加」、「買いだめによる一時的な品薄状態(一部の商品)」などの影響を我々の食生活に与えました。

一方で、外食需要の大幅な減少により、外食向けの食材を提供していた漁師をはじめとする生産者たちは、取引価格の低下や取引停止などの影響で売上が落ち込み、経営を維持することが難しい状況に立たされています。
ただ、このような中でも、多くの生産者はオンライン販売など、時代に向き合った方法で、売上の減少を抑えようと努力しています。

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2020年度総合食料自給率は引き続き40%を下回る

イメージ写真(出典:農林水産省 https://www.maff.go.jp/)

コロナ禍での食料消費や生産動向を振り返ったところで、これからは2020年度の食料自給率について見ていきたいと思います。

そもそも、「食料自給率※」とは、国ごとに食べている食料のうち、どのくらいがその国内で生産されているかという割合を示す指標のことです。
特定の品目について重量ベースで計算した「品目別自給率」と、食料全体について品目ごとに単位(供給熱量及び生産額)を揃えて計算した「総合食料自給率」の2種類があります。

食料自給率(農林水産省WEBサイト)

昭和40年度(1965年度)以降の食料自給率の推移(出典:農林水産省)

日本の総合食料自給率(カロリーベース)※について見ていくと、1965年度は73%でしたが、2010年度には40%を下回り、先進国で最低水準となっています。
食料自給率が長期的に低下傾向にある要因については、日本人の食生活が大きく変化し、国内で自給可能なお米の消費が減少する一方、飼料や原料を海外に依存している肉類や油脂類の消費量が増加したことなどが大きく影響していると言われています。

ちなみに、最新の2020年度の総合食料自給率(カロリーベース)※は、米の需要が長期的に減少していることや、小麦の収穫量が減少したことなどにより、対前年度から1ポイント減の37%となり、2018年度と並ぶ過去最低水準でした。

日本の総合食料自給率(カロリーベース)(農林水産省WEBサイト)
2020年度の総合食料自給率(カロリーベース)(農林水産省WEBサイト)

食用魚介類の2020年自給率は前年度を上回る57%

イメージ写真(出典:Pixabay https://pixabay.com/ja/)

2020年度の水産物の自給率※は、食用魚介類(重量ベース)が57%となり、前年度から2ポイント上昇。海藻類は5ポイント上昇し、70%となりました。
重量ベースの自給率は、【国内の生産量÷国内の消費仕向け量】で求められます。

自給率が上昇した要因について、食用魚介類はサバ類やカツオなどが不漁となったことや、国内の消費仕向け量における輸入量と輸出量が減少したこと、海藻類はワカメ類とノリ類の生産量が増加し、国内の消費仕向け量が前年を上回ったことなどが挙げられます。
また、関連する魚介類の家庭内支出金額については、近年減少傾向にありましたが、家計調査(2020年)※によると、コロナ禍での巣ごもり需要の影響を受けて、1世帯当たりの年間の魚介類支出額は前年比5%増の7万7,341円で、5年ぶりに前年を上回りました。

2020年度の水産物の自給率(水産庁)
家計調査2020年(e-Stat)

食料自給率を高めることが大きな課題

イメージ写真(出典:ISO Republic https://isorepublic.com/)

日本は、農林水産物・加工品などの輸入額が輸出額よりも多く、その規模は世界最大です。しかも、特定の国への依存が高く、世界の食料需給の影響を受けやすい状況にあり、食料自給率を高めることが大きな課題になっています。

また、新型コロナウイルスとの闘いは続いており、これからも食生活や食料需給にさまざまな影響があるかもしれません。食料自給率を向上させるためには、落ち込んだ外食需要等の回復をただ待つだけでなく、変化した需要に柔軟に対応した生産・販売等の取り組みなどが必要となります。
JF全漁連をはじめとするJFグループでは、「国民への国産水産物の安定供給」という使命を全うするため、今後もおいしい国産水産物を多くの皆さまに食べていただけるよう、水産物の販路や価格回復、水産物の消費拡大の取り組みなどを行ってまいります。
是非、皆さまも引き続き国産水産物をご賞味ください。

▼JFグループによる消費拡大等の取り組み
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  • JF全漁連編集部

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