日本の漁師たち 浜の起業家養成塾1期生を追う 2019.12.3 JF全漁連編集部 印刷する JF全漁連「浜の起業家養成塾」 修了式、授業を一緒に乗り切り自然と笑顔がJF全漁連が昨年度より開講している「浜の起業家養成塾」(以下、塾)は、将来の浜のリーダー育成を目的とし、若手漁師が経営やリーダーシップなどを集中的に学ぶことができる。今年度も2020年1月に開講することが決まった。(今年度の塾生募集はJF全漁連ホームページから) 第一回となった昨年度は、全国各地から地元漁協・漁連の推薦を受けた20代~40代の10名の若手漁師が全国漁業協同組合学校(千葉県)に集まり、寝食を共にしながら、延べ20日間、朝から晩まで学び、語り合った。 得意分野は教えあった、会計の授業今回は、参加者の一人である、兵庫県・明石浦漁業協同組合(以下、JF明石浦)所属の畳谷航さん(30歳)のその後を追った。 思い切って塾への参加!修了式で今後のアクションプランをプレゼンする畳谷さん畳谷さんは、高校で調理師免許を取得後、調理師として働いていたが、漁師である父の背中を追い、24歳の時に新規就業者育成支援事業を活用して、本格的に漁業に就業した。独り立ちと同時に漁船リース事業を活用して「明石丸」を新造。底引き網漁業をメーンに、少しずつ漁業種類を増やしながら経営の腕を磨く。塾を受講する前から、積極的にSNSで情報発信をしたり、鮮度保持のための取り組みを工夫したりと、少しでも自分が捕った魚が高く売れるように努力をしてきた。 「船を持った時は自分だけの店を構えた気持だった」畳谷さんの「明石丸」2017年新造畳谷さんが、塾への参加を決めたのは、所属するJF明石浦の戎本裕明組合長から勧められたことがきっかけだったという。 自分の意見をきちんと持ち、伝えられる畳谷さんの姿に将来のリーダーとしての資質を見いだし、「期待を込めて送り出した」と戎本組合長。「子どもが生まれたばかりで20日間も研修に出るのは抵抗があったが、これからの経営に活かせるなら」と、畳谷さんは思い切って参加を決めた。 畳谷さんは、組合長の期待に応え、全国から集まる塾生の中でも物おじせず、積極的に授業に取り組んだ。それぞれが地元の地域の課題や取り組みを共有しあう授業(「浜の道具箱」講師:中央水研 竹村紫苑氏)では、他の地域がどんな取り組みをしているのかを知ることができ、視野が広がったという。 最終日には、思い描くアクションプランをプレゼンしあった。「人前で発表することは慣れていなかったが、最後は何とか思いを伝えることができた」と、新しい挑戦が多かった塾での日々を振り返る。 各地の課題、取組を共有するワークショップ修了後も続く交流がモチベーションのアップに修了後も、参加者同士の交流が続いている。SNSのライングループを作り、地元での取り組みなど、前向きな情報交換がされているという。 「地元のラジオに出演します!」「イベントに出店します!」「台風の被害大丈夫ですか?」など、それぞれが定期的にライングループにメッセージを送りあう。 生徒間だけでなく、塾の講師陣たちとの交流もある。畳谷さんは漁協に提案し、塾の講師の一人であった長谷川琢也フィッシャーマン・ジャパン事務局長を地元漁協に招いて、青年部を対象にした研修会を実現した。「同じ思いの仲間を増やしたい」と塾の修了式でプレゼンしたアクションプランを実現するための第一歩だ。 JF明石浦で実施した研修、青年部、職員も参加質で勝負したい!他地域の漁師が行う活動や、他業界との連携など、地域を巻き込んだ先進的な取り組みを知った畳谷さんは、さらに視野を広げ、先を見据える。「もっといろんな人を巻き込みたい」という思いがどんどん大きくなる。一方で、漁師としての腕や、魚の価値を高める取り組みは、もっと磨いていきたいという。「最近は『お前の魚はきれいだ』と仲買から言葉をかけてもらえるようになった。10年後は、自分が市場に出す魚が一目置かれるように頑張りたい」と目標を話す。 これからどうアクションするか。仲間を巻き込み地域をけん引するリーダーに、羽ばたいてほしい! 伝票を眺めながら、今日の売り上げを弟と振り返る今年度の「浜の起業家養成塾」開催の詳細はJF全漁連ホームページから! 漁師若手浜プラン研修近畿底引き網JF全漁連編集部漁師の団体JF(漁業協同組合)の全国組織として、日本各地のかっこいい漁師、漁村で働く人々、美味しいお魚を皆様にご紹介します。 地域産業としての成功事例や、地域リーダーの言葉から、ビジネスにも役立つ話題も提供します。 SakanadiaFacebookこのライターの記事をもっと読む
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