JFレポート 「サンマ長期漁海況予報」が発表—今シーズンの行方は? 2020.8.5 JF全漁連編集部 印刷する 秋の味覚を代表するサンマのシーズンがいよいよやって来ます。 サンマは一年中、店先に並ぶ魚と違い、大衆魚の中でも数少ない旬を感じさせてくれる魚。 このシーズンの到来を待ちわびている人は多いはずです。 ただ、近年は、不漁が続き、小売価格も高値で推移しているため、スーパーなどでなかなか手に取りにくい存在になっているのではないでしょうか? そこで、今回は、7月に国の研究機関が発表した「サンマ長期漁海況予報」などを基に、今シーズンの見通しについてご紹介したいと思います。 サンマ漁ってどんな漁業?近年の漁模様は?まずはサンマ漁の説明から。 サンマ漁は、春から初夏にかけて三陸沿岸を北上してきた群れを漁獲する「流し網漁」から、7月からロシア海域やオホーツク海から北海道道東、三陸沖、常磐沖へ南下していく群れを漁獲する「棒受け網漁」へと移行していきます。 棒受け網漁は、サンマの「一度光に集まると、同一方向に旋回する」という習性を利用して、サンマを棒受け網に誘い込んで、漁獲するもの。 国内で販売されるサンマのほとんどがこの漁法で漁獲されますが、近年、不漁が続いています。 さんま棒受け網漁業者の全国団体である全国さんま棒受網漁業協同組合(全さんま)によると、昨シーズン(2019年)の全国の漁獲量は4万517トンまで減少しました。 これは、過去最低の漁獲量だった1969年(約5万2,000トン)を下回る記録です。 不漁となる要因については、①資源量が減っていること、②日本近海の水温が高く、サンマが日本の漁場に入りづらくなっていること―など、さまざまなものが考えられていますが、サンマの資源量が減少している主原因はまだはっきり分かっていません。 今シーズンも来遊量は「極めて低調」、研究機関が発表それでは、今シーズンの漁模様はどうなるでしょう? 7月末に国の研究機関である水産研究・教育機構が発表した「令和2年度サンマ長期漁海況予報(道東~常磐海域)」によると、サンマの来遊量は去年を下回る模様で、漁期を通して「極めて低調」となりそうとのことです。 この「サンマ長期漁海況予報」は、水産庁からの委託を受け、漁業者や流通加工業者等の操業の効率化や経営の安定化、資源の合理的・持続的利用を図ることを目的として、国立研究開発法人 水産研究・教育機構が行っているもの。 6月から7月にかけて行った調査を基に、とりまとめられました。 詳しく見ていくと、漁場は、漁期を通して沖合に分散して形成され、サンマが三陸沖まで南下するのは例年より1か月ほど遅い10月下旬になりそうです。 また、漁獲の主体となる1歳魚の大きさは、例年よりもやせた、小さいサイズになる見込みです。 今シーズンが低調となる要因については、エサを奪い合うマイワシの分布範囲が拡大したことなどが考えられています。 それでもやっぱりサンマを食べたい!2018年撮影漁海況予報から、今シーズンのサンマの漁獲量は、過去最低だった昨年をさらに下回る可能性があることが分かりましたが、今回の予報は、新型コロナウイルスの影響で調査の海域が縮小されたことから、「例年に比べて見通しの不確実性が高い」(水産研究・教育機構)とも説明しています。 サンマは日本人にとってなくてはならない魚のひとつです。不漁による高値が懸念されますが、この秋もぜひ、脂の乗った香ばしいサンマの塩焼きを味わいたいものです。 今年は少しだけ贅沢品になってしまいそうですが、スーパーや魚屋さんで見かけたら、ぜひ手に取ってみてください。 JF全漁連のプライドフィッシュプロジェクトの公式サイトでは、漁師が選んだ本当においしい魚“プライドフィッシュ”に認定された「小名浜の秋刀魚」のほか、サンマを使ったレシピも紹介しています。 ▶サンマのレシピはこちら ※キーワード検索で「サンマ」と入力してください。 資源管理プライドフィッシュJF全漁連編集部漁師の団体JF(漁業協同組合)の全国組織として、日本各地のかっこいい漁師、漁村で働く人々、美味しいお魚を皆様にご紹介します。 地域産業としての成功事例や、地域リーダーの言葉から、ビジネスにも役立つ話題も提供します。 SakanadiaFacebookこのライターの記事をもっと読む
関係人口増加中!里海をまもる漁師と多様な組織の連携 ―シンポジウム「多様な主体の連携による里海保全」レポート―JF全漁連と全国内水面漁業協同組合連合会は2月22日、東京・一橋講堂を配信拠点としてシンポジウム「多様な主体の連携による里海保全」を開催し、「水産多面的機能発揮対策」 に取り組むグループの活動報告とデ2021.4.6JFレポートJF全漁連編集部
魚の祭典「Fish-1グランプリ」は大盛況!グランプリに輝いたのは毎年恒例となったJF全漁連主催の魚の祭典「Fish-1グランプリ」(「ジャパン・フィッシャーマンズ・フェスティバル2019」内)が11月17日(日)、東京・日比谷公園で開催されました。7回目となる今回2019.11.22JFレポートJF全漁連編集部
ポストコロナ時代における魚食の方向性探る ―水産庁シンポジウム「おさかな進歩2020」レポート―水産庁が2012年8月から開始した「魚の国のしあわせ」プロジェクト。これは、漁業者、水産関係団体、流通業者、食品製造業者、行政など、水産物に関わるあらゆる関係者が一体となって行う魚食普及の取り組みです2020.9.28JFレポートJF全漁連編集部
2019年度食料自給率、食用魚介類は低下JF全漁連Sakanadia編集部です。 今回は、このほど農林水産省から発表された2019年度の「食料自給率」の概要などについて、ご紹介します。 ▼Sakanadia関連記事 2020年度食料自給率は2020.8.25JFレポートJF全漁連編集部
JF福島漁連、YouTubeチャンネルを公開中!福島県の漁業やお魚の安全性などをPRこの情報は、福島県漁業協同組合連合会(JF福島漁連)からの提供です。 ▶Sakanadia関連記事 【特集3.11】歩みを忘れない―漁師の甲子園で見る3.11―~全国青年・女性漁業者交流大会~ こちら2022.4.14JFレポート全国の漁連・漁協
第44回全国海の子絵画展、28作品が特別賞受賞JF全漁連が毎年3月に開催している「全国海の子絵画展」。この絵画展は、小・中学生の皆さんが絵を描くことを通して、海に対する興味や、漁業に対する理解、夢をもって成長して欲しいという願いを込めて、19782022.3.17JFレポートJF全漁連編集部