日本の漁師たち 漁師の経営塾、オンライン同窓会で情報交換 2021.3.16 JF全漁連編集部 印刷する JF全漁連が2018年度から開講している「浜の起業家養成塾」。 将来の浜のリーダー育成を目的とし、経営やリーダーシップなどを集中的に学ぶことができる、いわば“漁師の経営塾”です。 今回は、1月15日に開催された「浜の起業家養成塾」卒業生たちによるオンライン懇談会(主催:JF全漁連)をレポートします! 懇談会には、一期生5人、二期生3人、さらに、浜の起業家養成塾の講師を務める東京大学八木信行教授、東京海洋大学工藤貴史准教授が参加。 各地で頑張る第一期生(2018年度卒業生)、第二期生(2019年度卒業生)が久しぶりに顔を合わせました。 ▼2019年度「浜の起業家養成塾」のようす 漁師の経営塾、7人の漁師たちの11日間 ▼2018年度「浜の起業家養成塾」卒業生の紹介 浜の起業家養成塾1期生を追う 久々の再会!全国のなかまとオンラインでつながる久しぶりの再会に緊張した様子でオンライン会議にぞくぞくログイン。 「お久しぶりで~す」「元気してました~?」なんて声を掛け合いながら、和やかな雰囲気で懇談が始まりました。 懇談の内容は近況報告や情報交換。卒業後、みなさんはどんな挑戦をしてきたのでしょうか。 販売チャネル・業種の多様化でリスク分散2019年度卒業生坂本さん(JF佐賀玄海)「地元の漁協(JF)からの紹介もあり、新しい取組として「ポケットマルシェ」での販売を始めてみました」と報告したのはJF佐賀げんかいの漁師坂本智彦さん。漁協とも協力し、販売を開始したが、コロナの状況も相まってネットでの販売実績はまずますとのこと。「何もしないよりはやってよかった」と評価します。 また、WEBをつかったブランディングとネット販売に挑戦しているというJFたろう(岩手県)の畠山正広さんは、起業に向けて「漁業」と「農業」を両立しリスク分散を試みているといいます。 浜の起業家養成塾でつくった将来のアクションプランをいち早く実行に移したのがJF大阪府鰮巾着網(大阪府)の岡雄大さん。「岸和田のだんじりシラスは卒業後すぐにブランドを立ち上げ、ふるさと納税に出品している」と言います。 入塾時に新規就業者研修中だったJF高知室戸支所の西岡宏晃さんは「研修が終わり、今自分の船を作っているところです」とうれしい報告! 中には、卒業後の苦悩を語る方も。 二期生最年少のJF明石浦・畳谷太一さんは「塾が終わってからは何ができるか模索しているがなかなか進められない」とこぼします。新しい取り組みを地元の仲間に提案しても、実現できなかったことなどを話してくれました。それでも、考え続けること、そして自分から積極的に提案することだけでも大きな一歩!提案を受け取った仲間にはきっと何か伝わっているはず。 ▶ポケットマルシェ 坂本さんのページはこちら ▶畠山さんのブログ・オンラインショップはこちら ▶「だんじりシラス」ふるさと納税はこちら コロナの影響は?生き残りを懸けた漁師たちの工夫2018年度卒業生斉藤さん(JFひやま瀬棚支所)気になるのは、コロナの影響。JF全漁連が1月に実施した調査によると、飲食店などの需要が減ったことなどが影響し魚介類の浜値が約3割落ち込んだ時期もありました(全国平均)。 特に高級魚は打撃が大きく、卒業生たちのなかにもその影響を受けた方がいました。 「非常事態宣言が出たら、ぱったり高価格の魚が売れなくなった」と話したのは鮮魚・活魚出荷で有名なJF明石浦(兵庫県)の漁師畳谷航さん。「漁師で食っていくために何とかしなければ」とこのピンチをチャンスに変えるため、支援事業を活用した道具の整備やSNSの情報発信などピンチを乗り切るため動きを止めません。 コロナによる影響意外にも、JFひやま(北海道)の斎藤さんは「海が荒れる日が例年より多く、全然漁に出られなくて困っている」と頭を悩ませます。 日々変わる世の中の情勢や自然環境に左右されやすい漁業の難しさがひしひしと伝わってきます。 役に立ったかはまだわからないけれど、、、2018年度浜の起業家養成塾講義の様子最後に「浜の起業家塾で学んだことは役に立っていますか?」と問いかけると、 「役に立ったかは正直分からないけど、そういえばあんな活動している人がいたな、あんな事例があったなと思い出すことがあります。」 「よく当時の資料を見返します。」 「この塾に参加しようとする人は、何かかならず課題をもって参加しているはず。」 とコメント。 講師の八木先生からは「知識はどうしても忘れてしまうもの。でも考え方は身についているはず」と学びの活かし方についてアドバイス。 工藤先生は、「力がある地域は若手の結束が強い。自分が儲けることに加えて、地域全体を見ていくことも大切」と、卒業生たちが仲間を巻き込み引っ張っていくことを期待するコメントがありました。 それぞれが課題と思いを胸に参加した「浜の起業家養成塾」。集中して学んだあの日々を着実に経営力に変えていこうとするみなさんの姿からは、画面越しにも力強さを感じます。 JF全漁連の「浜の起業家養成塾」は、これからの漁業・地域をけん引していくみなさんを応援しています! イケメン漁師若手JF全漁連編集部漁師の団体JF(漁業協同組合)の全国組織として、日本各地のかっこいい漁師、漁村で働く人々、美味しいお魚を皆様にご紹介します。 地域産業としての成功事例や、地域リーダーの言葉から、ビジネスにも役立つ話題も提供します。 SakanadiaFacebookこのライターの記事をもっと読む
浜の起業家養成塾1期生を追うJF全漁連が昨年度より開講している「浜の起業家養成塾」(以下、塾)は、将来の浜のリーダー育成を目的とし、若手漁師が経営やリーダーシップなどを集中的に学ぶことができる。今年度も2020年1月に開講するこ2019.12.3日本の漁師たちJF全漁連編集部
伝統のシロエビ漁でガッチリ稼ぐ【後編】“漁師嫌い”から親方へ頼もしい親方としての野口さんの姿からは想像できない言葉だったが、子どものころは漁師になりたいと一度も思ったことがなかったという。潮の臭さや、魚しか出ない食卓、休みの日まで網仕事をする几帳面な父の姿。そ2019.11.14日本の漁師たちJF全漁連編集部
大阪からのⅠターン漁師・中井恭佑さんの挑戦(三重県尾鷲市早田町)大雨が降った翌朝の三重県尾鷲市早田(はいだ)漁港。朝日を背に受けてひとりの漁師が歩いてきた。人口122人(2019年10月現在)の早田町にある株式会社「早田大敷(はいだおおしき)」の漁労長、中井恭佑さ2019.12.4日本の漁師たちJF全漁連編集部
漁師が学校にやってきた!JF全国漁青連が都内小学校で出前授業JF全国漁青連に所属する3人の現役漁師が、東京・練馬区立春日小学校で日本の漁業や魚について教える授業を行いました。 ※JF全国漁青連は、若手漁師を中心とした漁協青年部の全国連合会です。 登壇したのは、2020.11.9日本の漁師たちJF全漁連編集部
長崎のポジティブ漁師、明日の漁業を照らす長崎県長崎市野母(のも)半島で定置網を経営する平山孝文さん(46歳)。浜に出ると、地域の人たちが笑顔で話し掛けてくる。水揚げが終わり、陸に上がると「よく働くなぁ」と先輩たちが寄ってくる。 人生の先輩方2020.3.12日本の漁師たちJF全漁連編集部
伝統のシロエビ漁でガッチリ稼ぐ【前編】富山湾のUターン漁師富山県射水市のJF新湊に所属する野口和宏さん(42歳)は、シロエビ漁と底引き網漁を操業する。京都の私立大学を卒業後、製造会社の営業職を経験し、30歳で実家の船に乗った。病気がちな父を支えながら乗組員と2019.11.14日本の漁師たちJF全漁連編集部