魚を伝えるひとたち 【特集・魚食】受賞者の今「相可高校で学び、一流ホテルに就職」 小西健介さん、山本純輝さん(三重県) 2020.3.19 JF全漁連編集部 印刷する JF全漁連は、漁師がつくる漁協(漁業協同組合、愛称はJF“じぇいえふ”といいます)の全国連合会。日々漁師や各地の漁連・漁協をサポートする仕事をしています。 その仕事の一つとして、漁師が生産した魚介類を、消費者の皆さんに美味しく食べていただくための魚食普及(ぎょしょくふきゅう)にも力を入れています。 本特集では、魚食普及活動の一環でJF全漁連が開催している「シーフード料理コンクール」の20周年を記念して、これまでの受賞者の活躍をご紹介します! 今回は、同コンクールで数多くの受賞者を輩出した三重県立相可(おうか)高校食物調理科を代表して、農林水産大臣賞を受賞した小西健介さんと山本純輝さんをご紹介します。 教育と環境に恵まれ、共に最優秀賞を受賞小西健介さんと山本純輝さん(写真左から)高校生レストラン「まごの店」※で有名な三重県立相可(おうか) 高等学校食物調理科は、シーフード料理コンクールで数多くの受賞者を輩出している。 その中で、最優秀賞である農林水産大臣賞を受賞した小西健介さん(2007年度)と山本純輝さん(2018年度)は現在、皇族や海外からの賓客が訪れる「鳥羽国際ホテル」に勤務している。 2人の職場は和食レストラン「もんど岬」。厳選した地元の食材を生かした「リゾートWashoku」を展開している。 「もんど岬」では答志市場で料理人自らが競り落とした食材なども提供同店で働き始めて11年になる小西さんは料理の味付けを担当する「煮方」として活躍中。2人の子供の父親で、家では子供たちに寿司を握るという。小さい頃から料理に興味があり、相可高校に入学してから本格的に料理人になることを志した。 一方、山本さんは今年4月に入社したばかりで、仕込みや盛り付けなど厨房のさまざまな作業を手伝う「追い回し」として修業中だ。鳥羽市答志島出身で、父親はワカメ養殖やブランド魚「トロサワラ」を狙う一本釣り漁師。料理人になりたくて相可高校を志望した。 「2人とも明るいだけでなく、手が足りないところへすぐ動く気遣いができる子たちです」と語るのは、「もんど岬」料理長の北村光吉さん。「教育しなくても、きちんとあいさつができて、礼儀正しい。相可高校の教育のたまものだと思います」と絶賛する。 相可高校の奥田清子教諭2人に共通するのは、相可高校の村林新吾教諭によく叱られたこと。コンクール出品用のメニューを何度作っても戻されたが、2人はめげず、3年生になって開花した。シーフード料理コンクールの書類審査を通過し、見事に農林水産大臣賞に輝いた。 同校の奥田清子教諭は、2人が受賞したことについて、「シーフード料理コンクールは、子供たちが学んだことを試すのに一番いい機会。山本くんも小西くんもとても素直な性格なので、怒られながらも先生からのアドバイスをよく聞いたことが大きい」と分析する。 相可高校が運営するレストラン「まごの店」また、同校の調理クラブが運営する「まごの店」での活動についても触れ、「高校生でお金をもらってサービスすることを覚えることは、とても貴重な体験。そこで得られたことが現在の職場でも生かされているのだと思う」と語る。 料理長からも一目置かれる存在に2人が勤務する鳥羽国際ホテルからは鳥羽湾が見渡せる鳥羽国際ホテルは、若い料理人への教育が行き届いている。ホテル内で毎年コンテストを開いて若手を競わせたり、参考になりそうな他の店やホテルに行かせるだけでなく、資格取得も支援する。 鳥羽湾を一望できる「もんど岬」内で北村光吉料理長(左)と小西さんは現在、専門調理師の資格(実技)取得を目指している。「後輩がどんどん入ってくるので、北村料理長のような厳しくもあり、優しい指導者になりたい」と夢を語る。 鳥羽の水産物を知り尽くした山本さんは「ここの魚を全国的に広めて、地元に貢献したい。もっと鳥羽に人を集めたい」と胸を膨らませる。 「2人は想像力もあり、それを生かして鳥羽でしか食べられない料理を目指してほしい。2人とも料理長になれる人材です」と、北村さんは目を輝かせた。 この記事は、JF全漁連 季刊誌「漁協(くみあい)」174号掲載の「エポック 特別企画 第20回シーフード料理コンクール記念 受賞者の今」を転載したものです。 これまでのシーフード料理コンクールの受賞作品は、シーフードセンターのWEBサイトでご覧いただけます。 まごの店相可高校の調理クラブに所属する生徒たちが授業のない土曜・日曜・祝日だけオープンしているレストラン。2005年にオープンし、同店をモデルにしたドラマが放送されたこともあり、知名度は全国区に。地元の人だけでなく、県外からも多くのお客さんが訪れる店となった。学生自らが店を切り盛りしているのが一番の特徴で、店内で料理教室を開催することもある。魚の多くはJF三重外湾から調達される。レシピプライドフィッシュJF全漁連編集部漁師の団体JF(漁業協同組合)の全国組織として、日本各地のかっこいい漁師、漁村で働く人々、美味しいお魚を皆様にご紹介します。 地域産業としての成功事例や、地域リーダーの言葉から、ビジネスにも役立つ話題も提供します。 SakanadiaFacebookこのライターの記事をもっと読む
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【特集・魚食】受賞者の今「すべては家族のために」 大中久子さん(広島県)JF全漁連は、漁師がつくる漁協(漁業協同組合、愛称はJF“じぇいえふ”といいます)の全国連合会。日々漁師や各地の漁連・漁協をサポートする仕事をしています。 その仕事の一つとして、漁師が生産した魚介類を2020.3.18魚を伝えるひとたちJF全漁連編集部